猪苓(読み)チョレイ(英語表記)Grifola umbellata (Pers.) Pilát

デジタル大辞泉 「猪苓」の意味・読み・例文・類語

ちょ‐れい【××苓】

サルノコシカケ科のキノコチョレイマイタケ地中につくる菌核漢方で利尿・解熱止渇薬などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「猪苓」の意味・読み・例文・類語

ちょ‐れい【猪苓】

〘名〙 チョレイマイタケの菌核で漢方薬一種。利尿、解熱、口渇を治す、などの効がある。黒褐色で、内部白色だが干したものは黒く光沢がある。〔日葡辞書(1603‐04)〕
随筆・西遊記続編(1798)五「殊更此袋には種々の薬品所持致せば、猪苓(チョレイ)沢瀉はよく水をおひ、防風桂枝はよく風ををさむ」

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改訂新版 世界大百科事典 「猪苓」の意味・わかりやすい解説

猪苓 (ちょれい)
Grifola umbellata (Pers.) Pilát

担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ科のキノコであるチョレイマイタケが地下につくる菌核。猪苓とはイノシシの糞(ふん)の意味。菌核は黒く,凹凸が多く,平たく,古い大きなショウガ根に形は似る。ハンノキカエデクヌギなどの根に寄生し,地下にかたまって形成される。肉は白く,これを薄く切って漢方薬として重用される。秋,この菌核から地上にキノコが発生する。キノコは1本の茎から幾回も枝を分け,各枝の先端に直径2~4cmの円い,浅い漏斗形の小型のかさをつける。かさの表面は黄白色~淡いきつね色,かさの下面は白く,管孔が密にならぶ。1株に20~50個以上のかさをつけ,1株の大きさは高さ10~20cm,直径10~30cmにもなる。肉質で食用になる。北半球の温帯以北に広く分布し,日本では北海道から九州まで分布する。
執筆者: 猪苓は成分としてエルゴステロールergosterol,ビオチンbiotin,多糖類,タンパク質,糖分,無機物などを含むことが知られているが,それらのいずれが有効成分か不明である。漢方では茯苓(ぶくりよう)とともに優秀な利尿剤とされているが,茯苓のように滋養強壮効果がない。しかし利尿効果は茯苓より強く,応用範囲が広い。配合する生薬によって急性,慢性いずれの乏尿,頻尿,血尿などに消炎性利尿薬として用いられる。応用例として泌尿器系の結石や腫瘍,尿路感染症,前立腺や痔の手術後,腹部の水腫や下肢の浮腫,女子の白帯下など。効果が得られた後は直ちに停止し,長期服用(とくに慢性虚弱性疾患や妊娠時など)はさけた方がよい。また,癌治療効果があり,とくに肺癌など扁平上皮癌に有効とされ,将来が期待されている。この抗癌作用は免疫能力の調節によって生ずると考えられている。
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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「猪苓」の解説

ちょれい【猪苓】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。サルノコシカケ科チョレイマイタケ菌核(きんかく)を乾燥したもの。ブナの根に寄生する。利尿解熱止渇(しかつ)などの作用がある。膀胱(ぼうこう)炎尿道炎腎盂(じんう)炎に効く猪苓湯(とう)腎炎むくみ急性胃腸炎に効く五苓散(ごれいさん)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「猪苓」の解説

猪苓 (チョレイ)

植物。サルノコシカケ科の担子菌類,薬用植物。チョレイマイタケの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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