精選版 日本国語大辞典 「猶・尚」の意味・読み・例文・類語
なお なほ【猶・尚】
[1] 〘副〙
① 一つの状態や心情・意志などが、それを解消する可能性を有する事態を経た後も、引き続き変わることなく持続するさまを表わす。やはりもとのとおり。それでもやっぱり。何と言ってもやはり。
※万葉(8C後)二〇・四三五一「旅衣八重着重ねて寝ぬれども奈保(ナホ)はだ寒し妹にしあらねば」
② 一つの判断や意志を、対立する判断や意志を付けることによって、確認する気持を表わす。やはり。どう見ても。
③ 欠点や好ましくない点を含む一つの状態が、他と比べてまだましであり、あるいはその欠点にもかかわらずすぐれた一面を持つことを認める気持を表わす。まだしも。むしろ。それでも。そうは言っても。
④ ある状態や他のものに比べていっそう程度が増すさまを表わす。ますます。いちだんと。もっと。ずっと。さらに。
※万葉(8C後)七・一二三五「波高しいかに梶取水鳥の浮き寝やすべき猶や漕ぐべき」
⑤ (「なお…のごとし」などの形で) 一つの事物、事態が、他の事物、事態とそっくりであるさま。まるで。あたかも。ちょうど。
※守護国界主陀羅尼経巻八平安初期点(900頃)「問難皆答ふること、若(ナホ)泉流のごとし」
[2] 〘接続〙 一つの話を終えたあとに、追加して別の話を始めようとするときの、つなぎのことば。それに加えて。付け加えると。加えていうと。
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