猿投山古窯址群(読み)さなげやまこようしぐん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「猿投山古窯址群」の意味・わかりやすい解説

猿投山古窯址群
さなげやまこようしぐん

愛知県瀬戸市,豊田市,みよし市,名古屋市緑区,大府市刈谷市さらには名古屋市千種区の東山地区に及ぶ広い範囲に分布する窯址群を総称したもの。実際の猿投山(標高 629m)とは地域的に離れている。須恵器瓦器の窯が約 370基,山茶碗の窯が 800基も発見されている。最も古い段階のものは 5世紀後半のものと思われる須恵器窯で,東山地区にあり,この地区では 7~8世紀のものもみられる。奈良平安時代に入ると地域的に東方へ延び,10世紀後半頃に最盛期を迎え,その中心はみよし市,豊田市の一部に及ぶ地域で,主として瓦器の窯で,11世紀に入ると量産化し,いわゆる山茶碗窯になっていく。製品は器種が豊富で,文様などにも華麗なものがあり,中央官庁寺院などに向けてつくられたものが多かった。

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世界大百科事典(旧版)内の猿投山古窯址群の言及

【猿投山】より

…また花コウ岩の風化した〈サバ土〉は陶土の原料として利用される。山麓には三河三宮で武神,農業神として尊崇される猿投神社,古墳時代後期以降の須恵器生産が行われた猿投山古窯址群(猿投窯)がある。山頂を経由して東海自然歩道が通る。…

※「猿投山古窯址群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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