王翰(読み)おうかん

精選版 日本国語大辞典 「王翰」の意味・読み・例文・類語

おう‐かん ワウ‥【王翰】

中国盛唐期の詩人。字(あざな)は子羽。山西晉陽の人。「葡萄美酒夜光の杯」で始まる七言絶句傑作「涼州詞」で知られる。生没年未詳。

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デジタル大辞泉 「王翰」の意味・読み・例文・類語

おう‐かん〔ワウ‐〕【王翰】

[687ころ~726ころ]中国、盛唐の詩人。晋陽しんよう山西省)の人。あざなは子羽。辺塞へんさい兵士感慨を詠じた「葡萄ぶどうの美酒、夜光の杯」で始まる「涼州詞」は有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王翰」の意味・わかりやすい解説

王翰
おうかん
(687?―735?)

中国、盛唐期の詩人。字(あざな)は子羽。并州(へいしゅう)(山西省)晋陽(しんよう)の人。711年(景雲2)の進士。宰相張説(ちょうえつ)に礼遇されて秘書正字や賀部員外郎に抜擢(ばってき)されたが、張説が宰相をやめると、汝州(じょしゅう)(河南省)長史に出され、仙州(河南省)別駕(べつが)に改められた。最後は左遷されて道州(湖南省)司馬で終わった。剛健で自負心が強く、酒宴狩猟を好み、音楽にうつつをぬかしたり、自らを王侯に比して人をあごで使ったりしたという。代表作『涼州詞(りょうしゅうし)』は、唐代の七言絶句のなかの名品である。「葡萄(ぶどう)の美酒夜光の杯(はい)、飲まんと欲(す)れば琵琶(びわ)馬上に催(うなが)す。酔うて沙場(さじょう)に臥(ふ)すも君笑うこと莫(な)かれ、古来征戦幾人(いくたり)か回(かえ)る」。壮麗な詩風に特色がある。

丸山 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王翰」の意味・わかりやすい解説

王翰
おうかん
Wang Han

中国,盛唐の詩人。并州晋陽 (山西省太原) の人。字,子羽。景雲1 (710) 年 (一説にはその翌年) 進士に及第。并州長史であった張説に認められ,昌楽の尉となり,張説が中央で要職につくとともに中央に召されて,駕部員外郎に進んだ。しかし性格が豪放で酒色にふけったため,人に憎まれ,張説が失脚したとき (721) 同時に汝州長史に左遷され,次いで仙州別駕,さらに道州司馬に流され,そこで死んだ。残されている詩はわずか 14編だが,「葡萄美酒夜光杯」で始る『涼州詞』は,唐代七言絶句中の傑作とされる。なお,『旧唐書』では名を王澣と書く。

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