班田収授の法(読み)はんでんしゅうじゅのほう

精選版 日本国語大辞典 「班田収授の法」の意味・読み・例文・類語

はんでんしゅうじゅ【班田収授】 の 法(ほう)

大化改新ののち施行され、平安初期(九世紀半ば)まで実施された土地割替(わりかえ)制度。飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)を経て大宝令にいたって制度的に確立した。土地公有制の原理に基づき、六歳以上の良民男女・奴婢田地班給し(口分田)、死亡すれば国家収公する。班給された口分田は生涯用益を許される。六年に一度班田収授が行なわれることになっており(六年一班)、普通戸籍の作製される年の二年後に実施された。この制度は租・庸・調・雑徭などの諸負担に堪えられるように、農民に一応の生活基盤を国家的に保障したものであったが、天平一五年(七四三墾田永代私有令が公認されて以来進行してきた土地私有の発達によって、平安初期には実行不可能となった。

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デジタル大辞泉 「班田収授の法」の意味・読み・例文・類語

はんでんしゅうじゅ‐の‐ほう〔ハンデンシウジユ‐ハフ〕【班田収授の法】

律令制で、人民耕地を分割する法。中国、唐の均田法にならい、大化の改新の後に採用されたもので、6年ごとに班田を実施し、6歳以上の良民男子に2段、良民の女子と官戸公奴婢くぬひにはその3分の2、家人私奴婢には良民男女のそれぞれ3分の1の口分田くぶんでんを与えた。終身の使用を許し、死亡の際に国家に収めた。平安初期以後は実行が困難になった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「班田収授の法」の解説

班田収授の法
はんでんしゅうじゅのほう

律令制下における田地の班給制度。田令に規定され,6歳以上の男子1人に2段,同女子1人に1段120歩(家人・私奴婢にはそれぞれ3分の1)を支給し,終身用益(死後に収公)を認めるもの。唐の均田法にならったものだが,唐では良民成年男子のみを対象とするなど違いもある。正史での初見は646年(大化2)の改新の詔であるが,692年(持統6)の班田が実施の最初とみてよい。班田収授は6年ごとに行われる造籍と校田(こうでん)をもとに実施された。法のうえでは11月上旬から翌年5月末までに戸籍を,農繁期が終わる10月中に校田帳・班田授口帳を作成し,その翌年2月末までに班田を行う仕組みであったが,校田は1カ月では不可能で,実際には2年間で造籍,次の2年間で班田,あしかけ4年を費やした。班年には国司または班田使が死亡者の口分田(くぶんでん)を収め,新たに受田資格をえた男女に給田するが,実際には戸ごとにまとめて戸主に支給した。班田の結果は田図・田籍に記録され中央に報告された。しかし9世紀になると,墾田の増加による校田の困難化や偽籍の増大によって6年ごとの班田は不可能となり,一紀(12年)一班の制が行われたが,やがて廃絶した。

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