現人（読み）うつしびと

精選版 日本国語大辞典

うつし‐びと【現人】

〘名〙

① (死者に対し) この世に生きている人。現在存命中の人。

※源氏（1001‐14頃）若菜下「うつし人にてだにむくつけかりし人の御けはひの」

② (出家に対し) 在俗の人。俗人。

※源氏（1001‐14頃）手習「げにいみじかりし人の御有さまなれば、うつし人にては、世におはせんもうたてこそあらめ」

③ まことの情をもっている人。

※謡曲・砧（1430頃）「烏てふ大嘘鳥(おほをそどり)も心して、うつし人とは誰れかいふ」

うつつ‐びと【現人】

〘名〙 現にこの世に生きている人。出家しないで俗世にいる人。うつし人。

※承応版狭衣物語（1069‐77頃か）四「あぢきなや、かうまでうつつ人にて見るべかりし人かは」

出典　精選版 日本国語大辞典