現心(読み)うつつごころ

精選版 日本国語大辞典 「現心」の意味・読み・例文・類語

うつつ‐ごころ【現心】

〘名〙
気持がしっかりと定まっている状態本心正気
ささめごと(1463‐64頃)上「うちいでぬることの葉のすゑ、うつつ心なき事に侍ども」
② (夢うつつの意から) 気持がしっかりと定まっていない状態。うつろな心。夢見心地
※俳諧・住吉物語(1695か)下「若鮎やうつつ心に石の肌〈青流〉」
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「何(どこ)が何やら一向窹心(ウツツゴコロ)で、二階まで伴(つ)れられたが」

うつし‐ごころ【現心】

〘名〙
現実の心。正気。確かな心。
万葉(8C後)一二・二九六〇「うつせみの宇都思情(ウツシごころ)もわれは無し妹を相見ずて年の経ぬれば」
徒然草(1331頃)八七「うつし心なく酔ひたる者に候。まげて許し給はらん」
② 本心。
古今(905‐914)恋四・七一一「いで人は言(こと)のみぞよき月草のうつし心は色ことにして〈よみ人しらず〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「現心」の意味・読み・例文・類語

うつつ‐ごころ【現心】

《夢うつつの心の意から》夢見るような気持ち。うつろな心。
「はや七分の正気を失って、どこなにやら一向―で」〈紅葉・二人女房〉
しっかりした気持ち。正気。
肝魂も消え果て―なし」〈盛衰記・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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