琳賢(読み)りんけん

朝日日本歴史人物事典 「琳賢」の解説

琳賢

生年生没年不詳
室町後期の画家。琳賢坊有勝と称す。興福寺大乗院に所属する絵所・吐田座の絵師であったが,江戸時代には同寺一乗院所属の芝座の絵師と誤解され,芝法眼と呼ばれた。天文年間(1532~55)を中心に東大寺や興福寺,春日大社などで,画像の制作,彫像や建築物などの彩色に活躍した。天文5(1536)年,20巻本の「東大寺縁起」を3巻に要約した「大仏縁起絵巻」(東大寺蔵)を描き,15年に「天川弁才天曼荼羅図」(奈良能満院蔵)を描き,22年には春日大社の造替(改築)にともなう社殿の彩色に従事したことなどが知られている。<参考文献>河原由雄「南都絵所のゆくえ」(『奈良県史』15巻)

(救仁郷秀明)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「琳賢」の解説

琳賢 りんけん

1074-1150 平安時代後期の僧。
承保(じょうほう)元年生まれ。真言宗華厳(けごん)をまなんだのち,高野山良禅から灌頂(かんじょう)をうける。小聖とよばれ,保延(ほうえん)5年高野山検校(けんぎょう)。堂塔をたて,経典転写と保存につとめた。久安6年8月14日死去。77歳。紀伊(きい)那賀郡(和歌山県)出身。字(あざな)は円如

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「琳賢」の意味・わかりやすい解説

琳賢
りんけん

室町時代の画家,興福寺絵所芝座の絵師。『東大寺大仏縁起絵巻』 (1536,東大寺) を同じく芝座の藤勝丸とともに制作。社寺縁起の最後を飾る絵巻といえるもので,南都絵仏師に独特の強烈な色彩を駆使する画風を示す。他の遺品は春日大社の絵馬『神馬図』 (53) など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android