環境経済学(読み)かんきょうけいざいがく

知恵蔵 「環境経済学」の解説

環境経済学

環境問題を経済学あるいは政治経済学の方法を用いて分析する学問。環境破壊が経済活動の結果として発生し、人々の生活水準を著しく低下させ、重大な社会問題となる中で生まれた、比較的新しい学問領域である。
現代の環境問題には、地球温暖化大気汚染森林破壊生物多様性喪失廃棄物リサイクルの問題など、様々な問題がある。環境経済学は、このような環境問題が発生するメカニズムやその影響、環境保全持続発展双方を考慮した政策のあり方などを、経済学的に検討する。森林の国土保全機能や水源涵養機能、豊かな自然が育む生物多様性など、環境は多様な価値を持ちながら市場で取引されず価格がつかないことが多い。このような「環境」の経済的性格や、自らの利益を重視する企業や消費者の行動を踏まえて、市場システムの下で環境破壊が生じる原因を解明したり、環境破壊の被害額や環境の価値を測定したり、望ましい環境水準を保つための環境政策を検討したりしている。

(原田英美 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディア 「環境経済学」の意味・わかりやすい解説

環境経済学【かんきょうけいざいがく】

地球環境の保全策と経済政策との関係や環境の危機を回避できる経済社会のあり方などを経済学的に検討する学問。1980年代後半,〈持続可能な発展〉が地球環境保全施策の基本的な概念として提唱されたことや,文部省大学で環境問題の講義を行うよう求めたことなどから,環境経済学の研究者が急増した。1995年11月,日本でも〈環境経済・政策学会〉が700余人の研究者の参加を得て創立され,学会活動を開始。2005年3月現在会員数約1300人を超える大きな学会となっている。

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