生成社会(読み)せいせいしゃかい(英語表記)component society

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生成社会」の意味・わかりやすい解説

生成社会
せいせいしゃかい
component society

F.H.ギディングズの用いた社会概念の用語。彼は,『社会学原理』 The Principles of Sociology (1896) で,社会の基本的現象である結合本質同類意識であるとし,同類意識の結合に対する作用の仕方によって,社会構造生成社会と組成社会に分けている。生成社会とは,それ自体自足的な諸集団がより大きい集団に結合する社会を意味し,そして社会は,社会の生成によって同質性を維持しながら,社会の組成によって差異を同質性に結合しつつ複雑な統一の実現に向って進むと説いている。さまざまな型の社会集団を考察の対象としているが,生成社会の最も単純な形態は家族であり,したがってホルド (部分的になんらの差別がなく,固定的な組織をもたない同質的集団) ,民族といった方向,あるいは近隣村落町村,地方,国家という方向へと発展するとみた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android