生者必滅(読み)しょうじゃひつめつ

精選版 日本国語大辞典 「生者必滅」の意味・読み・例文・類語

しょうじゃ‐ひつめつ シャウジャ‥【生者必滅】

〘名〙 仏語生命あるものは必ず死ぬときがあるということ。人生無常をいう語。
※性霊集‐八(1079)孝子為先妣周忌図写供養両部曼荼羅大日経講説表白文「生者必滅、即人之定則」
※俳諧・父の終焉日記(1801)五月二〇日「況や、生者必滅会者定離の世のならひ」
[語誌](1)「北本涅槃経‐二」などに由来すると思われるが、表白文、講式を介して定着したものか。中世軍記物以降、「会者定離」と対句的に用いられることが多い。
(2)意味の近い盛者必衰」の語は「仁王経」などの仏典に見られるが、日本では「生者必滅」と混同して用いられることも多い。

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デジタル大辞泉 「生者必滅」の意味・読み・例文・類語

しょうじゃ‐ひつめつ〔シヤウジヤ‐〕【生者必滅】

無常なこの世では、生命あるものは必ず死ぬときが来るということ。「生者必滅会者定離えしゃじょうり

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生者必滅」の意味・わかりやすい解説

生者必滅
しょうじゃひつめつ

生命あるものはかならず死滅するときがくるという、現象世界の無常なることを意味する。『大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)』寿命品(じゅみょうぼん)の「一切諸世間(いっさいしょせけん)、生者皆帰死(しょうじゃかいきし)、寿命雖無量(じゅみょうすいむりょう)、要必当有尽(ようひつうじん)」(いかなる世にあっても、生あるものはかならず死滅する。寿命は本来は無量であるが、現象世界ではかならず尽きることがある)に由来する。『平家物語』巻10には「生者必滅会者定離(えしゃじょうり)はうき世の習にて候なり」とあり、「会者定離」(会うものはきっと離れる定めにある)と対句的に用いられる。謡曲熊野(ゆや)』にもみられ、仏教無常観の日本的受容を示す語である。

[石川力山]

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四字熟語を知る辞典 「生者必滅」の解説

生者必滅

仏教で、生命あるものは必ず死ぬときがあるということ。人生の無常をいう語。

[使用例] 万一の事を考えると今の内に有為転変の理、生者必滅の道を説き聞かして、もしもの変が起こった時取り乱さないくらいの覚悟をさせるのも、夫の妻に対する義務ではあるまいかと考え出した[夏目漱石吾輩は猫である|1905~06]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生者必滅」の意味・わかりやすい解説

生者必滅
しょうじゃひつめつ

仏教用語。無常,または苦を表現する言葉で,ひとたび生れたものは,必ず滅びさるという意。

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