生蕃(読み)セイバン

デジタル大辞泉 「生蕃」の意味・読み・例文・類語

せい‐ばん【生×蕃】

中央教化に従わない原住の人々。⇔熟蕃
第二次大戦前の日本統治時代、台湾高山族高砂族たかさごぞく)のうち漢民族に同化していなかったものをさして用いた語。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「生蕃」の意味・読み・例文・類語

せい‐ばん【生蕃】

〘名〙
① 教化に服さない蕃人。辺地に住み、中央の政治に服さない、荒々しい蛮族。
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉四「無数の生蕃、群を為して侵掠強奪至らざる所なし」
② 中国清代、台湾の先住民の高山族(高砂族)のうち、山地に住み、漢族に同化していなかったものの呼称。⇔熟蕃。→高山族
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一二「此東部に住む土蕃等の内に熟蕃生蕃(セイバン)と言へるありて」
③ (━する) (「蕃」は、しげる、多いの意) 草木などが、おいしげること。繁茂。〔百挺‐西湖賦〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の生蕃の言及

【高山族】より

…中国,台湾省の原住民諸種族のこと。そのうち漢族化したものを熟蕃(じゆくばん),そうでないものを生蕃(せいばん)と呼んだが,これは日本の台湾領有(1895‐1945)に先立つ清朝時代からの称呼であり,たとえば大陸の少数民族であるミヤオ(苗)族を,その漢族化の程度によって,熟苗と生苗とに分ける流儀である。しかし〈蕃〉には軽侮の語感を伴うので,日本時代の中ごろから生蕃という称呼を高砂族と改め,公文書などにもそれが用いられるようになった。…

※「生蕃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android