…3拍子系のリズムの伝統が乏しいとされる日本でワルツが急速に受け入れられたことは,1900年代に早くもワルツのリズムによる流行歌が生まれたことに示される。《美しき天然》(田中穂積(1855‐1905)作曲・武島羽衣作詞,1900年ころ),《銀波》(外国曲?,1900年ころ),《ダニューブ河の(さざなみ)》(I.イワノビチの曲に田村貞一が作詞,1902年発表)らがそれで,いずれも感傷的な遅いテンポのワルツである。とりわけ佐世保の海軍軍楽隊長であった田中が作曲した《美しき天然》は,伝統的な旋律構成と西洋的な唱歌形式を合わせたもので,サーカスなどでも使われて日本のワルツの原像をなすものといえるだろう。…
※「田中穂積」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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