田中道麿(読み)たなかみちまろ

改訂新版 世界大百科事典 「田中道麿」の意味・わかりやすい解説

田中道麿 (たなかみちまろ)
生没年:1724-84(享保9-天明4)

江戸時代の万葉学者。通称庄兵衛,号は榛木翁。薙髪ちはつ)後は道全と号す。美濃国多芸郡榛木村の農家に生まれる。おもに大坂,名古屋に居住幼時から読書に親しみ神童の誉れが高かったという。初め大菅中養父(おおすがなかやぶ)に師事。のち本居宣長に入門,万葉研究に才を現した。宣長の万葉に関する著書中にはしばしば道麿の説が採用され,宣長の信頼は篤かった。著書に《撰集万葉徴》《万葉集答問書》《万葉集東語栞》など。
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朝日日本歴史人物事典 「田中道麿」の解説

田中道麿

没年天明4.10.4(1784.11.16)
生年享保9(1724)
江戸中期の国学者。通称茂七,のち庄兵衛。榛木翁と号した。美濃多芸郡榛木(岐阜県養老町)の農家に生まれる。近江彦根で大菅中養父に入門,国学の研究に励む。のち名古屋に移り住み,本居宣長に師事,宣長の最も忠実な門人のひとりとして重きをなす。宣長もまた道麿の学才を深く信頼した。研究対象は主として万葉集で,宣長との問答は万葉集研究の当時の水準を物語る。家集『田中道全集』が写本伝存する。<参考文献>岩田隆「田中道麿年譜稿」(『名古屋工業大学学報』29号),同「榛木翁年譜考証」(『名古屋工業大学学報』30号)

(久保田啓一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田中道麿」の解説

田中道麿 たなか-みちまろ

1724-1784 江戸時代中期の国学者。
享保(きょうほう)9年生まれ。美濃(みの)(岐阜県)多芸郡(たぎぐん)飯之木(はんのき)村の農家の出身。大菅中養父(おおすが-なかやぶ),本居宣長(もとおり-のりなが)に師事し,「万葉集」の研究に専念。晩年は名古屋で宣長の教えをひろめた。天明4年10月4日死去。61歳。通称は茂七,庄兵衛。号は榛木(はんのき)翁,道全。著作に「撰集万葉徴」「万葉東語栞(あずまことばのしおり)」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田中道麿」の意味・わかりやすい解説

田中道麿
たなかみちまろ

[生]享保9(1724).美濃,榛木
[没]天明4(1784).10.4.
江戸時代中期の国学者。通称は庄兵衛,号は榛木翁。『万葉集』の研究に没頭し,万葉の古風を唱えた。のち本居宣長の門に入り,その才能を愛された。著書『撰集万葉徴』 (1781) ,『榛木翁集』。

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