田舎館遺跡(読み)いなかだていせき

精選版 日本国語大辞典 「田舎館遺跡」の意味・読み・例文・類語

いなかだて‐いせき ゐなかだてヰセキ【田舎館遺跡】

青森県南津軽郡田舎館村にある遺跡総称で、特に垂柳遺跡をさす。縄文式土器伝統が見られる彌生系土器(田舎館式)を出土。また、籾(もみ)の痕(あと)のある土器や焼籾、水田跡が発見され、当時すでに稲作農耕が本土北端にまで及んでいたことがはじめて立証された。

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改訂新版 世界大百科事典 「田舎館遺跡」の意味・わかりやすい解説

田舎館遺跡 (いなかだていせき)

青森県南津軽郡田舎館村にある弥生時代の遺跡。津軽平野の南部,浅瀬石(あせいし)川流域の沖積平野に位置する。田舎館地区,垂柳地区などに分かれる。1956年にはじまった耕地整理の際,地元の研究者によって,籾痕のついた土器や炭化米が発見されたため,57年に東北大学の伊東信雄によって垂柳地区の発掘調査が行われた。発掘では現水田下にある白色火山灰層の下に遺物包含層があり,多数の炭化米や籾痕のついた弥生式土器などが出土した。これによって本州の北端に近い津軽地方にも弥生文化に伴って早くから稲作農業が伝播していたことがわかった。81年の青森県教育委員会の調査では,弥生時代の水田跡も確認されている。なお,田舎館・垂柳両地区ともに出土する土器は同じもので,田舎館式とよばれ,東北地方北部の弥生時代中期の標式資料となっている。
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