男のつわり(読み)おとこのつわり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「男のつわり」の意味・わかりやすい解説

男のつわり
おとこのつわり

妻のつわりのときに,夫がつわりのような状態になることをいう。東北地方ではこれを男のクセヤミとかアイクミなどといい,長野県下伊那地方ではトモヤミ,奈良県高市郡ではアイボノツワリという。「病んで助けられるのはくせやみばかり」という諺もあるように,妻が妊娠すると夫がつわりの兆候を呈して弱り,妻はそのためにつわりが軽くすむと信じられている。夫のつわりに似た例は世界的にみられる。バスク人やピレネー山中の住民の間には,妻が妊娠すると男が産褥につくまねをする習俗があり,これを擬娩という。この習俗は中世までヨーロッパの各地でみられ,またそのほかの地域にも擬娩を行う民族があった。これと日本の男のつわりとが関係あるか否かは明らかではない。

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百科事典マイペディア 「男のつわり」の意味・わかりやすい解説

男のつわり【おとこのつわり】

妻の妊娠に伴い夫の健康に異常を呈する現象。汗をかいたり,吐き気を催す。秋田県ではくせやみ,奈良県ではあいぼのつわり(夫婦のつわり)などという。未開社会クーバード(擬娩)との関係は不明。

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