町彫(読み)マチボリ

デジタル大辞泉 「町彫」の意味・読み・例文・類語

まち‐ぼり【町彫(り)】

江戸時代装剣金具で、将軍家・大名家の御用を務めた後藤家家彫りに対し、それ以外の在野金工が彫ったもの。また、その流派総称横谷宗珉よこやそうみんに始まる。

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精選版 日本国語大辞典 「町彫」の意味・読み・例文・類語

まち‐ぼり【町彫】

〘名〙 江戸中期、横谷宗珉(そうみん)らが市中に自立して製作した金属彫刻。また、それを業とするもの。⇔家彫(いえぼり)。〔装剣奇賞(1781)〕

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百科事典マイペディア 「町彫」の意味・わかりやすい解説

町彫【まちぼり】

江戸時代の後藤家の家彫に対して,在野の金工家の彫金を指す。後藤家の下地師であった横谷宗【みん】(よこやそうみん)が家彫の作風に従わず独立し,自由な意匠の彫金を創始して家彫に対抗したのに始まる。横谷派のほか奈良大森柳川等の各派が栄えた。
→関連項目土屋安親

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「町彫」の意味・わかりやすい解説

町彫
まちぼり

後藤派以外の装剣金工師の作品。後藤派の家彫 (いえぼり) に対する語。元禄初期 (1690頃) に横谷宗 珉 (そうみん) が江戸幕府おかかえの後藤家から野に下り,片切彫と独特の絵画風の図案による作品を発表したのに始る。装剣金工界における町人文化台頭を意味するもの。横谷派から出た柳川派のほか,奈良派,大森派などが著名。

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世界大百科事典(旧版)内の町彫の言及

【土屋安親】より

…画題は中国や日本の故事,自然風景などの絵画風のものから,文字,鶴丸透(すかし)などの図案風なものまで多彩であり,象嵌,色絵,鋤出彫(すきだしぼり),肉合彫(ししあいぼり),高彫,毛彫,片切彫などのあらゆる技法を用い,効果をあげている。同期の横谷宗珉とともに町彫(まちぼり)の代表工であるが,後藤家(家彫)の影響の強い宗珉以上に自由・斬新さが見られる。【原田 一敏】。…

【横谷宗珉】より

…また画家の英一蝶(はなぶさいつちよう)と親交が深く,一蝶の下絵になる作も現存している。一門に宗与のほか,横谷英精,柳川直政,大森英昌,古川元珍らがおり,その分脈はおおいに栄え,町彫の祖として高く評価されている。彫金【原田 一敏】。…

※「町彫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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