番犬(読み)ばんけん

精選版 日本国語大辞典 「番犬」の意味・読み・例文・類語

ばん‐けん【番犬】

〘名〙 番をする飼犬用心のために飼っておく犬。
自画像(1920)〈寺田寅彦〉「羊の群を守る番犬」

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デジタル大辞泉 「番犬」の意味・読み・例文・類語

ばん‐けん【番犬】

家の番をする飼い犬。
[類語]愛犬忠犬猟犬飼い犬野良犬野犬警察犬軍用犬盲導犬介助犬牧羊犬犬ころ狆ころわんわん子犬小犬小形犬中形犬大形犬猛犬狂犬畜犬名犬駄犬負け犬日本犬和犬洋犬聴導犬尨犬むくいぬ犬種

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「番犬」の意味・わかりやすい解説

番犬
ばんけん

家や財産を外敵から守り警護するために飼われるイヌをいう。イヌはどんなイヌでも、不審なものの接近、侵入に対し、ほえて仲間に知らせる性質があるので、品種を問わず番犬として役だつ。しかし、侵入する外敵を意図的に排斥するためには、ある程度の体格闘争力も要求されるものである。専門的に番犬としての任務が与えられるものとしては、戦争時の見張り役、定住地域の警備犬、身辺護身犬、家畜の見張り役などがあげられよう。護身犬や警備犬としては、巨大な体躯(たいく)を有する犬種が珍重され、紀元1世紀のころには、マスチフのような大形犬が普遍化していた。

 警備犬として性能のよいものは、いわゆる作業犬種といわれるグループのものである。シェパードドーベルマンボクサーエアデールテリアなどは訓練性能もよく、あらゆる作業に適している。日常実務に携わるとき、あまりに大形すぎるものは扱いにくいこともあり、万能作業犬として世界的に名声を博している犬種は、いずれも体高60~65センチメートル、体重30キログラム前後のものが多い。一方、山岳地帯や村落で家畜を大形肉食獣や盗難から守るイヌの場合は、動物どうしの闘争に打ち勝つためにも、体躯雄大な犬種がみられる。たとえば、ピレニアンマウンテンドッグ、コーバース、チベッタンマスチフなどである。

 かつてイヌは番犬としてほえることをとがめられはしなかった。しかし、時代が変わり、都市が発展し人家が密集してくると、イヌのほえ声は騒音となり、しばしばトラブルのもととなってきた。ほえないようにするくふうがいろいろ考案されているのも、時代の流れといえるであろう。騒音が懸念されるときには、ほえ声の甲高い神経質な気質の犬種は避けるほうが無難である。また、現在では、とくに都市部において、番犬としてのたけだけしさよりも、コンパニオンドッグ(ペットとよばずにこの名称を用いる運動がおこっている)としての意味合いが強く求められ、居住地の広さに関係して、大形犬よりむしろ小形犬へと飼育頭数が変化している。

増井光子


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世界大百科事典(旧版)内の番犬の言及

【イヌ(犬)】より

…(b)農場犬 ロットワイラー,シュナウツァーなど。(c)番犬 マスチフ,グレート・デーン,セント・バーナード,ボクサー,ドーベルマン・ピンシェルなど。(d)そり犬 エスキモー犬,サモエードなど。…

※「番犬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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