出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
傷者,病者および難船者に援助を与え,それらのものを治療し,輸送することを目的として,建造し,または設備した船をいう。ジュネーブ条約により,戦時それらの船舶が使用される10日前に,その船名および細目(登録総トン数,船の長さ,マストおよび煙突の数等)が紛争当事国に通告されることを条件にして,これを尊重・保護し,いかなる場合にも攻撃し,または捕獲してはならないこととされている。病院船は船体外面を白色に塗り,遠距離から視認可能なように,できるだけ大きい濃色の赤十字を船体の各側面および水平面に表示し,メーンマストに白地に赤十字の旗をできるだけ高く掲げるように定められている。病院船がもっとも活躍したのは第1次世界大戦および第2次世界大戦当時であるが,誤認や病院船としての資格不備等により撃沈される事例もかなりあった。近年,同じ目的に衛生航空機が使われるようになってきた。
執筆者:本多 一郎
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戦時に傷病者および遭難船の乗員だけを海上輸送する船舶。船内に治療施設・設備を整え、医師以下の医療スタッフが乗り組んでいる。国際法の規定によって船体を白く塗装し、船腹に赤または緑色の横線と十字形を標示し、赤十字の旗を掲揚するなどの標識が義務づけられている。武装すること、戦闘員を乗船させることができない。船名と判別のための資料は赤十字本社に報告され、赤十字を通じて交戦国に通告される。交戦国は病院船を攻撃したり捕獲したりすることができない。また、傷病者などの救助には敵味方を問わず船を提供することが定められている。
[岩井 聰]
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