瘤取話(読み)こぶとりばなし

精選版 日本国語大辞典 「瘤取話」の意味・読み・例文・類語

こぶとり‐ばなし【瘤取話】

〘名〙 「団子浄土」や「鼠浄土」と同系統の「隣の爺」型の昔話。頬に瘤のある正直な爺が山中天狗または鬼の酒盛りに会い、瘤を取られる。隣の爺がそれを真似て失敗する話。全国的に分布し、「宇治拾遺‐一」にも収録されている。瘤取り。瘤取りじいさん。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瘤取話」の意味・わかりやすい解説

瘤取話
こぶとりばなし

善悪2人の主人公の出てくる隣りの爺型といわれる昔話の一つ。古く『今昔物語集』にもみえており,分布の広い話である。頬に瘤のある2人の爺さんが隣合せに住んでいたが,ある日よい爺さんが山仕事に出かけ,木の洞穴に雨宿りしているうちに眠ってしまう。夜になってあたりがにぎやかになったので見ると鬼が宴を開いて踊っている。爺さんも飛出して踊る。鬼は喜んで明日もまた来いといい,その約束の印にと瘤を取っておく。この話を聞いた悪い爺さんは,自分も瘤を取ってもらおうと出かけるが,踊りが下手なため,かえって鬼を怒らせてしまい,瘤を取ってもらうどころか,前の爺さんの瘤までつけられ,両頬に瘤を下げるはめになってしまう。同じような話は,日本ばかりでなくヨーロッパにも分布しているが,ヨーロッパのものは瘤が頬ではなく,首筋についているものが多い。

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