デジタル大辞泉
「癈」の意味・読み・例文・類語
しい〔しひ〕【×癈】
からだの器官が働きを失うこと。また、その人。
「松反り―にてあれかもさ山田の翁がその日に求めあはずけむ」〈万・四〇一四〉
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し・う しふ【癈】
[1] 〘自ハ四〙 器官のはたらきを失う。五
感覚の機能を失う。
※
万葉(8C後)九・一七八三「
松反り四臂
(シヒ)てあれやは三栗の中上り来ぬ
麻呂といふ奴」
[2] 〘自ハ上二〙 (一)に同じ。
※聖語蔵本成実論天長五年点(828)一六「是くの如く无明の為に盲(シヒ)られて、則ち能く多過患の不浄の五陰を受く」
※
日葡辞書(1603‐04)「リャウガン xij
(シイ) マシマシテ。ミミ xij
(シイ) テ」
[
補注](1)「万葉集」の例は「四臂」の「臂」が甲類のかな(さらに、
連用形名詞「しひ(癈)」の
用例の「比」も甲類)であるところから四段活用と考えられる。
(2)中古以降は(二)の
挙例の「盲
(シヒ)られて」が上二段活用と認められるほかは、ほとんどが連用形で活用の判定はしにくく、上二段活用として扱った。
(3)「日葡辞書」の
見出しは「Xij
(シイ), xijta
(シイタ), xijte
(シイテ)」とあって終止形はあがっていない。連用形専用であったことと、四段活用ではなかったらしいことは、これからもわかる。
しい しひ【癈】
〘名〙 (動詞「しう(癈)」の連用形の
名詞化) 感覚を失うこと。器官のはたらきを失うこと。
※万葉(8C後)一七・四〇一四「松反(がへ)り之比(シヒ)にてあれかもさ山田の翁(をぢ)が其の日に求め逢はずけむ」
[補注]「あきじい(精盲)」「しいね(瘤)」「みみしい(聾)」「めしい(盲)」など、複合した形でも用いられる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報