発遣(読み)ハッケン

デジタル大辞泉 「発遣」の意味・読み・例文・類語

はっ‐けん【発遣】

[名](スル)差し向けて行かせること。使者などを派遣すること。
崇神天皇の大御世に四道将軍を―し給へり」〈吉岡徳明・開化本論〉

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精選版 日本国語大辞典 「発遣」の意味・読み・例文・類語

はっ‐けん【発遣】

〘名〙
① 送りつかわすこと。さしむけること。派遣。差遣
※続日本紀‐養老四年(720)六月己酉「但犬麻呂依刑部断、発遣配処」 〔後漢書‐明帝紀〕
② 仏語。
(イ) (「撥遣」とも) 修法にあたって勧請した仏菩薩などを、修法を終えたあと、もとの本土にお送りすること。そのために真言を誦し、弾指することを弾指発遣という。
※元久法語(1205‐07頃)「釈迦はこの方にして発遣し、彌陀はかのくにより来迎し給ふ」
(ロ) 浄土教で、阿彌陀仏招喚(しょうかん)(=浄土に来るようまねき呼ぶこと)に対して、釈迦が浄土に行くよう念仏をすすめることをいう。
教行信証(1224)序「特仰如来発遣、必帰最勝直道、専奉斯行、唯崇斯信」 〔観経疏‐散善義〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「発遣」の意味・わかりやすい解説

発遣
はっけん
fa qian

中国,清の刑罰の一種。死刑に次ぐ重刑。囚人の顔に入墨をしたうえで,新疆のウルムチ満州のチーリン (吉林) など 18省外の辺地に追放し,かつ,杖 100を併科する。囚人は「種地」あるいは「当差」とされて,屯田開墾または公共の雑役に使われ,罪状の重い者は「為奴」とされて,駐屯軍に奴隷として給された。種地,当差の者は改心の情があれば5年後にその地の民籍に繰入れられ,鉱廠での労役に従事すれば,種地,当差は 15年で,為奴は 17年で本籍回帰が許された。発遣の制は辺境の開拓に効があったが,清代後期には治安不穏などのため,規定どおりの実施は困難となり,一部はほかの刑に切替えられた。

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世界大百科事典(旧版)内の発遣の言及

【刑罰】より

…徒刑は塩場(えんじよう)や鉄冶(てつや)に送って一定期間の強制労働を科するもので,流刑は宋代の編管に類するという。清代には充軍は実質的に流刑と異ならないものとなったが,入墨して新疆,黒竜江,吉林など辺境へ送り,強制労働させる発遣(はつけん)が行われた。また枷号(かごう)という昼間に首かせをつけて役所の前にさらす杖刑への付加刑があった。…

【流刑】より

…妻,妾は必ず随従し,直系の尊属卑属は従う義務はないが願い出れば許され,受刑者が死亡すれば家族は願い出て帰ることができる。清代も原則は同じで上記3等の差があるが,必ず杖一百を加えられ,さらに流の軽いものに〈遷徒(せんし)〉,重いものに〈充軍〉〈発遣〉がある。充軍に5等の差があり,最も重いものは雲南,貴州,広東,広西に流するのが常例で,軍関係の労役につかせる。…

※「発遣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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