白保サンゴ礁(読み)しらほさんごしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白保サンゴ礁」の意味・わかりやすい解説

白保サンゴ礁
しらほさんごしょう

沖縄県石垣島東海岸の白保地区にあるサンゴ礁。沖縄県内のサンゴ礁が1980年代をむかえる前に90%も死滅するという惨状を呈したときも奇跡的に被害を免れ、健全な姿を保っていた。79年9月、沖縄県は現石垣空港滑走路1500メートル)にかわる、ジャンボ機の導入可能な新石垣空港(同2500メートル)を白保の海上に建設する計画を発表した。その計画によれば白保サンゴ礁は100ヘクタールも失われるため、地元から反対の声があがった。白保サンゴ礁は北半球最古・最大のアオサンゴの大群落をはじめ、220種というサンゴ類の多様性だけでなく、魚類の多様性も世界有数のサンゴ礁である。87年の国際自然保護連合(IUCN総会では白保サンゴ礁の保護を求める決議が採択された。さらにIUCNは日本のNGOとともに調査を実施、スペシャリストを送り込んで保護に関する提案も行い、白保サンゴ礁は世界の注目を集めることとなった。国や県は滑走路を2000メートルに短縮する、空港の位置を北へ4キロメートル移動させるなどの変更案をだしたが、反対をおさえられず、県はついに現空港の拡張を含む4候補地をあげて検討することにし、現在にいたっている。農地改良による赤土流入や、水温上昇によると思われるサンゴ礁の白化死滅など深刻な問題もある。世界自然保護基金日本委員会は白保にサンゴ礁保護研究センター準備室を設けている。

[永戸豊野]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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