白毛女(読み)はくもうじょ

精選版 日本国語大辞典 「白毛女」の意味・読み・例文・類語

はくもうじょ ハクモウヂョ【白毛女】

中国の現代歌劇延安魯迅芸術学院集団創作。作曲馬加。一九四四年初演。地主に迫害された貧農の娘喜児が、山奥洞穴に隠れ住む間に白髪になったが、ついに恋人のいる解放軍に救われる。映画化され、またバレエなどにも改編された。

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デジタル大辞泉 「白毛女」の意味・読み・例文・類語

はくもうじょ〔ハクモウヂヨ〕【白毛女】

中国の現代歌劇。延安の魯迅ろじん芸術学院の集団創作。1945年初演。地主に迫害された貧農の娘が、山奥の洞穴に隠れ住む間に白髪となったが、解放軍に救い出される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白毛女」の意味・わかりやすい解説

白毛女
はくもうじょ

現代中国の歌舞劇。1945年、延安魯迅(ろじん)芸術学院の賀敬之、丁毅(ていき)らにより集団創作された。物語は、貧農の父、楊白労(ヤンパイラオ)を悪徳地主黄世仁に自殺させられたうえに自らも妊娠させられた喜児(シーアル)は、黄の家を逃れ出て、山中の洞穴に隠れ住む間に、白髪となってしまった。飢えをしのぐために夜、廟(びょう)の供物をとる喜児の姿をかいまみた村人は、白毛女と恐れ敬う。彼女のかつての恋人大春(ダーチユン)は八路軍の兵士となっていた。彼は、村人の迷信打破のため、白毛女の正体を暴こうと山中に踏み込み、喜児をみいだす。救い出された喜児は地主打倒の先頭にたち、やがて髪は黒さを取り戻した。河北省の民間伝承を素材に、民謡秧歌(ヤンコー)の身ぶりを取り入れ、オペレッタ風にしたもの。主題曲『北風吹いて』は有名。50年に映画化され第6回国際映画コンクールに入賞。同作品は、文化大革命中、バレエ、現代革命京劇にも改編された。

前田利昭

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改訂新版 世界大百科事典 「白毛女」の意味・わかりやすい解説

白毛女 (はくもうじょ)
Bái máo nǚ

現代中国の代表的な歌劇。地主に凌辱されて奥山に逃げこみ,辛酸のあまり白髪と化した貧農の娘を八路軍が救い出し,人間として解放するという筋立て。抗日戦争中に華北の農村で広く語り伝えられていた物語を,1945年に魯迅芸術学院所属の賀敬之,馬可などが歌劇として集団創作したもの。民衆から爆発的な歓迎をうけ,華北の民謡のメロディにのって歌われる主題歌《北風吹いて》は,全中国に広まった。のちに,バレエにも改作された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白毛女」の意味・わかりやすい解説

白毛女
はくもうじょ
Bai-mao-nü

中国の歌劇。6幕であったが5幕に改作。辺地の農民たちに伝わっていた物語を,1944年賀敬之,丁毅が中心となって延安の魯迅芸術学院で集団創作したもの。民謡をもとに編曲した歌曲とともに新歌劇として成功を収めた。 50年には王浜と水華の共同監督で映画化。舞踊劇としても上演されている。悪徳地主が貧農の娘喜児を借金のかたにとり,恋人を追払い手ごめにする。喜児の父はそれを苦に自殺し,喜児はすきをみて地主から逃れ山奥で自活する。やがて八路軍がその地方を解放し,辛苦のあまり白髪になっている喜児を赤軍兵士になっていた恋人が救い,地主は人民裁判で裁かれるという筋。

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百科事典マイペディア 「白毛女」の意味・わかりやすい解説

白毛女【はくもうじょ】

中国の歌劇。5幕。1945年作。賀敬之,馬可らを中心とする魯迅芸術学院の集団創作。貧農の娘シーアル(喜児)の苦難と解放を描く。白毛女は劇中の仙女(実は辛酸のあまり白髪となったシーアル)。中華人民共和国の代表的歌劇とされ,1950年に映画化。文化大革命ではストーリーを改変してバレエ化。

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世界大百科事典(旧版)内の白毛女の言及

【中国映画】より

…人民共和国政府は51年,映画産業を国有化しその発展に力を注いだ。〈新中国最初の傑作〉として世界的に知られているのが水華,王浜共同監督による《白毛女》(1950)である。建国当時の年間映画人口は4731万人だったのが,63年には33億人(製作本数は1964年に長編が480本)という発展ぶりを見せたものの,66年に始まる〈文化大革命〉とともに映画人の活動は停滞し,70年代後半まで低迷をつづけた。…

【魯迅芸術学院】より

…何其芳,冼星海(しようせいかい),古元等の一流の芸術家教授陣の指導により,多くの文芸幹部を養成した。当学院最大の成果は,卒業生賀敬之らが集団創作した大型歌劇《白毛女》(1944)だが,木刻画の活動も忘れることはできない。なお,中国革命の展開のなかで東北,蘇北等にも分置された。…

※「白毛女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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