白真弓・白檀弓(読み)しらまゆみ

精選版 日本国語大辞典 「白真弓・白檀弓」の意味・読み・例文・類語

しら‐まゆみ【白真弓・白檀弓】

[1] 〘名〙
① 檀(まゆみ)を材料として作った白木丸木弓
万葉(8C後)九・一八〇九「焼太刀の 手穎(たかみ)押しねり 白檀(しらまゆみ)(ゆき)取り負ひて」
古今(905‐914)恋二・六〇五「てもふれで月日へにける白まゆみおきふしよるはいこそねられね〈紀貫之〉」
随筆・貞丈雑記(1784頃)一〇「やぶさめに用るしらま弓は白巻弓也。しらまきを略してしらま弓と云也」
[2]
① 弓を張る意で「張る」と同音を含む「春山」にかかる。
※万葉(8C後)一〇・一九二三「白檀弓(しらまゆみ)いま春山に行く雲の行きや別れむ恋しきものを」
② 弓を射る意で、「射る」と同音を含む地名にかかる。
(イ) 「磯辺」にかかる。
※万葉(8C後)一一・二四四四「白檀(しらまゆみ)磯辺の山のときはなる命なれやも恋ひつつをらむ」
(ロ) 「いるさの山」にかかる。
古今六帖(976‐987頃)二「しらまゆみいるさの山のときはなる命かあやな恋ひてやあらん」
③ 弓の弦(つる)の意で、「弦」と同音を含む地名「敦賀(つるが)」にかかる。
夫木(1310頃)三六「しらまゆみつるがの船路夜もなほ押してひきこす波の蔭かは〈藤原基家〉」
④ 地名「斐太(ひだ)」にかかる。かかり方未詳。弓を引く意とする説もあるが、「ひだ」の「ひ」(乙類)と「引く」の「ひ」(甲類)は別。
※万葉(8C後)一二・三〇九二「白檀(しらまゆみ)斐太の細江菅鳥(すがどり)の妹(いも)に恋ふれか寝(い)をねかねつる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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