百練抄(読み)ひゃくれんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「百練抄」の意味・わかりやすい解説

百練抄
ひゃくれんしょう

編年体の通史。17巻。編者未詳。13世紀後期の成立か。書名は中国唐代の詩人白楽天(はくらくてん)の詩『百錬鏡』からとったものであるが、日本では『百練抄』と書き慣(なら)わしてきている。巻四冷泉(れいぜい)天皇(10世紀中期)から最終巻亀山(かめやま)天皇即位(1259)までが現存している。記事には京都やその周辺の事柄が多く、鎌倉幕府や地方のことには詳しくない。先行の歴史書や、貴族の日記、年代記などを参照しながら抜粋して編修したらしい。1304年(嘉元2)鎌倉幕府の執権金沢文庫の発展に尽力した金沢(かねさわ)(北条)貞顕(さだあき)がこれを書写したことがある。『国史大系』所収。

益田 宗]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「百練抄」の解説

百練抄
ひゃくれんしょう

編年体の歴史書。編者不詳。亀山天皇在位中の成立か。全17巻のうち巻1~3は散逸。現存部分は冷泉(れいぜい)天皇の968年(安和元)から1259年(正元元)の亀山天皇の即位まで。貴族の日記をもとに編纂したと考えられるが,典拠を明記した記事は数少ない。12世紀後半部分は「吉記(きっき)」を典拠とする。末尾部分は編者の日記を利用しているといわれる。記事は朝廷の動向が中心で平安末期から詳しくなり,鎌倉時代の史料としては重要。神宮文庫が金沢貞顕書写の金沢文庫本の模写本所蔵。江戸時代から「百錬抄」と書かれるが,本来は「百練抄」。「国史大系」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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