皇室外交(読み)コウシツガイコウ

デジタル大辞泉 「皇室外交」の意味・読み・例文・類語

こうしつ‐がいこう〔クワウシツグワイカウ〕【皇室外交】

天皇皇族外国訪問したり、賓客として来日する外国の国王王族大統領などを接遇したりする、皇室の国際親善の公務の便宜的な呼び方。
[補説]皇太子徳仁親王は平成11年(1999)2月の記者会見で、自身の外国との交際、海外訪問についての考えを尋ねられた際、「皇室の訪問というのは外交というよりは親善訪問、友好親善を深めるためのものであるということで、皇室外交という言葉は皇族の訪問の場合は少しなじみにくい言葉なのではないのかと思います」と答えている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「皇室外交」の解説

皇室外交

国政に関与しない象徴天皇としては、「皇室外交」の用語は避けているが、皇室の外国との親善交際は年々活発化し、時には、結果として政治的論議の的とならざるを得ないケースも出てきている。戦後、昭和天皇の外国訪問は1971年の欧州と75年の米国だけだった。代替わり後は、東南アジア(91年)、中国(92年)、イタリア・ベルギー・ドイツ(93年)、米国(94年)、フランス・スペイン(同)、ブラジル・アルゼンチン(97年)、英国・デンマーク(98年)、オランダ・スウェーデン(2000年)、ポーランドハンガリー(02年)、アイルランドノルウェー(05年)、シンガポール・マレーシア・タイ(06年)、英国・スウェーデン・バルト3国(07年)と続いている。先の大戦の傷跡が尾を引く諸国では、晩さん会などでの天皇の「おことば」の歴史への言及が関心を集め、両国の歴史が切り結ぶ場と受けとられることも否定できない。また戦後60年にあたる05年6月には、「戦場での慰霊」としてサイパン島を訪問した。「友好親善のための儀礼的訪問」という枠組みを初めて踏み越えた形だ。

(岩井克己 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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