皇帝居城(読み)こうていきょじょう

世界の観光地名がわかる事典 「皇帝居城」の解説

こうていきょじょう【皇帝居城】

ドイツ中央部、ザクセン州南部のゴスラー(Goslar)にある宮殿。ゴスラー中央駅から約1.2km、マルクト広場から徒歩5分ほどの場所の緑豊かな公園の中にある。ゴスラーは中世に、近くのハルツ山中にあるヨーロッパ屈指のランメルスベルク鉱山が膨大な銀を産出したため、神聖ローマ帝国皇帝により町がつくられ、皇帝直轄領となったという歴史を持つ。その後、11世紀に入り、「黒王」と呼ばれた皇帝ハインリヒ3世(1017~1056年)は、この町にロマネスク様式の宮殿を建設し、ここを居城の一つとした。現在の宮殿は1879年に復元されたものである。当時の神聖ローマ帝国皇帝は決まった居城を持たず、国内の宮殿を転々としていたが、ハインリヒ3世はこの宮殿を20回以上訪れ、滞在したという。この間、この宮殿では20回以上の帝国議会が開かれている。宮殿2階の帝国の間には、ドイツの歴史をテーマにした巨大な壁画がある。地下のウルリッヒ礼拝堂(St. Ulrich Kapelle)には、ハインリヒ3世の心臓を収めた石棺がある。◇皇帝居城の前のドーム入り口の間」(Domvorhalle)は、1050年にハインリヒ3世が建設した聖シモンとユダ教会(St. Simon ans St. Jude)の一部。この教会はその後荒廃し、1820~1822年に取り壊されたが、この部分だけは残された。

出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報

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