出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
雅楽,管絃の曲名。《黄麞》とも書き,別名《海老葛(えびかずら)》ともいう。唐楽。平調(ひようぢよう)。四箇(しか)の大曲(《蘇合香(そごうこう)》《万秋楽(まんじゆうらく)》《春鶯囀(しゆんのうでん)》《皇麞》)の一つ。古くは舞があったが,現在舞は伝わらない。序破急があったという記録はあるが,序と破は絶え,現行は急のみ。唐の中宗の時代(684-710)に黄麞谷で戦死した将軍王孝傑の忠義ぶりをたたえて,帝がこの曲を作ったと伝えられる。日本への伝来については不明。もともとは,遊声(1帖。絶える)-序(3帖。舞があったが,今は絶える)-破(9帖。今は絶える)-急(1帖。早四拍子,拍子20)という構成であったが,現在は急のみ管絃で奏される。なお,社寺の儀式音楽として,急の曲がよく取り上げられ,とくに仏教では《皇麞》に〈往生〉の文字を用いて奏している。四箇の大曲に数えられるが,実際演奏される急の曲は小曲に分類される。
執筆者:加納 マリ
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