監司(読み)かんし(英語表記)jiān sī

精選版 日本国語大辞典 「監司」の意味・読み・例文・類語

かん‐し【監司】

〘名〙 監察し、取り締まること。また、その役人行司
随筆・秉燭譚(1729)五「畢竟監司は、一道一路のしまりの役人を称していふなり」
万国公法(1868)〈西周訳〉二「如此通有の川河に於て監司をなすは」 〔史記‐酷吏伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「監司」の意味・わかりやすい解説

監司 (かんし)
jiān sī

中国,府州県の地方官ならびに諸政を監察する官庁総称。監司という用語は2世紀後半の後漢時代にあらわれるが,御史や刺史など弾劾,監察を行う官署の呼称として一般化するのは西晋(265-316)以後である。それがもっとも広く使用されたのは10世紀から13世紀の宋代においてであった。宋は府州県の上に監督区分として15ないし23の設け,その長官を監司と呼んだ。具体的には,主として人事・財政を担当する転運司,警察・司法提点刑獄,軍事関係の安撫司,特殊財務を取り扱う提挙常平司の四者があり,それぞれ,漕司憲司帥司,倉司の別名を持った。この四者は一路内の異なった府州に治所を置き,職務内容も必ずしも明確には区分されていなかった。義務責任の明らかな行政官というより,全体として一路の行政を監察運用するところにその特色があった。元代以後,省が最高の行政区画となり,布政使,按察使,さらに総督巡撫が置かれると監司の名は消える。
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普及版 字通 「監司」の読み・字形・画数・意味

【監司】かんし

監察官

字通「監」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の監司の言及

【宋】より

…末端の県の官吏は,五代のとき軍閥に籠絡されて,そのなすがままになっていたので,ここでも中央の官員を知県に任命し,政府が直接に県政を掌握することにした。一方,州の上には路という監督区分を設けて,転運司(漕),提点刑獄司(憲),経略安撫司(帥)を置き,それぞれ一路の財政,司法,軍事をつかさどり,のちに提挙常平茶塩公事(倉)を置き,総称して監司といった。路の数ははじめ15であったが,のちに23に増え,北宋末期には26路になった。…

※「監司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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