相対論的効果(読み)そうたいろんてきこうか(英語表記)relativistic effect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相対論的効果」の意味・わかりやすい解説

相対論的効果
そうたいろんてきこうか
relativistic effect

古典論にはないが,相対論で現れる現象のこと。特殊相対性理論では,光源や観測者が動いていても光の速さがどの方向へも同じであるという光速度不変の原理,観測者に対し動いている時計の進度が遅くなる時計の遅れ,動いている物体の運動方向の長さが短くなるローレンツ収縮,物体が速く動くほどその質量が増大する現象 (→静止質量 ) ,質量がエネルギーの1種であるという質量とエネルギーの等価性,さらに量子論的効果が加わるときの反物質の存在などの相対論的効果が知られている。一般相対性理論では,重力によって空間はひずむと考えるので,次の相対論的効果が知られている。つまり大質量の近くの重力の強いところで光線が曲る重力レンズ効果,重力による時計の遅れ (前述の遅れとは別) のために重力の強いところで放射された光のスペクトルが弱いところで観測すると赤いほうへずれる赤方偏移惑星の近日点が動く近日点移動などの効果が知られている。このほかに,ニュートンの重力理論では地球が自転していても,いなくても地球の重力は同じであるが,一般相対論では,回転していると回転効果を生じる。たとえば人工衛星軌道衛星に積込んだジャイロスコープ歳差運動が違ってくるはずである。また,物体が大きい加速度で運動すると重力波が生じる。さらに,非常に重い恒星は自分自身の強い重力で崩壊してしまって,あらゆる物質のみならず光までも吸込んでしまうブラックホールになる。現在も後者の3つの効果について実験的,観測的研究が続けられている。

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