相島(読み)あいしま

日本歴史地名大系 「相島」の解説

相島
あいしま

[現在地名]萩市相島

島の西方約五・五キロにある。古くは島とも記された。面積二・五八平方キロ。東西一三町、南北一六町三〇間、島回り一里二〇町二〇間(地下上申)。六島のうち面積は大島に次ぐ。集落は島の南東部に集中する。浜崎宰判に属した。

永正五年(一五〇八)頃と推定される大井おおい八幡宮の御済納米銭役人文書に、「島」として「御幣紙三帖 駕籠丁三人 細男二人 長筵六枚 相模二人 大角豆三升 粟三升 御菜三数 筌一」と記され、室町時代末期には阿武あぶ郡二〇郷と並んで農産物や農製品または人役を神社に献納していたことがうかがえる。

相島
あいのしま

玄界灘にあり、新宮港からは北西に約七・二キロ。面積約一・二五平方キロ。玄海国定公園の一部。「続風土記」は「阿恵島又阿部島」であげ、今はあい島と称し、周囲一里余と記す。北側は絶壁で崖下には海食洞が多く、東沖合の鼻栗はなぐり(めがね岩)半円のアーチ状をなし、小船が通り抜けられる。「続風土記」はほら島、俗に「はなくり」と記す。平安時代末期の漢詩集「本朝無題詩」に「乗舟到新宮湊」に続けて収められる「着阿恵嶋述志」は、当島を詠んだものか。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「相島」の意味・わかりやすい解説

相島
あいしま

山口県北部、日本海に浮かぶ島。萩(はぎ)市に属す。浜崎港から北西14キロメートルに位置し、1日3便の定期船がある。面積2.48平方キロメートル。玄武岩台地で、藩政時代から養牛と畑作を行う。現在ではかつてのジョチュウギクにかわってスイカ葉タバコの栽培が盛んである。西海岸の海食洞や海食岩柱など優れた景観は北長門(きたながと)海岸国定公園の一部をなす。人口199(2009)。

[三浦 肇]

相島
あいのしま

福岡県糟屋(かすや)郡新宮町(しんぐうまち)に属する島。相ノ島とも書く。新宮海岸の北西約8キロメートル、玄界灘(げんかいなだ)にあり、周囲約8キロメートル、面積1.25平方キロメートル。標高50~70メートル、最高点77メートルの玄武岩からなる台地状の島で、南に湾を抱いて東西に細長く、海岸の一部には海食崖(がい)が発達している。大陸と九州を結ぶ航路の要衝にあたり、古くから開け、『日本書紀』などにも名を残している。5~7世紀ころの墓とみられている積石塚群があり、2001年(平成13)国の史跡に指定された。藩政時代、朝鮮の使節がかならず寄港し、黒田藩による制札所、客館、遠見番所も置かれていた。主産業は一本釣り、タイ沖取(おきとり)網、アジ・サバ巾着(きんちゃく)網を中心とする漁業であるが、農業も行われている。玄海国定公園に含まれる。新宮港から定期船が就航し、近年では釣り客、海水浴客が増加している。人口215(2020)。

[石黒正紀]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相島」の意味・わかりやすい解説

相島
あいしま

山口県北部,萩市の北西約 14kmの海上に浮かぶ島。萩市に属する。玄武岩からなり,最高所標高 157m。日本海にある六島諸島の一つ。やや起伏に富み,水の乏しい半農半漁の島。南東麓は防風林に囲まれている。ナツミカンタバコ,スイカ栽培が行なわれる。萩市浜崎港から定期船がある。面積 2.48km2。人口 237 (2000) 。

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デジタル大辞泉プラス 「相島」の解説

相島

福岡県糟屋郡新宮町の北西沖約8キロメートルに位置する筑前諸島の島。「あいのしま」と読む。面積約1.24平方キロメートル。万葉集続古今集などにもこの島と思しき島の名前が見られる歴史ある島。秀吉の朝鮮出兵の際、戦勝祈願のために積ませたという「潮井石」や、黒田藩の接待所跡が残る。現在は漁業が中心の島で、釣り客も多い。

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事典・日本の観光資源 「相島」の解説

相島

(福岡県糟屋郡新宮町)
福岡県文化百選 歴史散歩編」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の相島の言及

【真珠島】より

…三重県南東部,鳥羽市の鳥羽港沖約200mにある小島。かつては相(おう)島といわれた。1893年御木本幸吉がここで真珠養殖に成功した。…

※「相島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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