デジタル大辞泉
「相通」の意味・読み・例文・類語
そう‐つう〔サウ‐〕【相通】
[名](スル)江戸時代以前の歌学・国語研究用語。五十音図の同行・同段の内で、音が互いに通い合うという考え。「けけれ(上代東国方言)」と「こころ」「けぶり」と「けむり」など。「ハ行・ヤ行の動詞は、その同行に相通するものは、その行のかなで書く」→五音相通
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そう‐つう サウ‥【相通】
〘名〙
① 古代から日本の
韻学で用いられた理論で、
あい似た音が通用して用いられること。
※悉曇私記(9C後)「難云、羅帯二阿声一、羅字不レ帯。何相通矣。答曰、既言二相通一、不レ言二同音一者、二音雖レ異而有二相似一、故云二相通一」
② (━する) ①から発展して、五十音図のたての行の五音内、もしくは、よこの段の十音の内で音が通用すること。
前者を五音相通、同声相通、
後者を同韻相通、あるいはその相通する音をもってイエ相通、サタラナ相通などといった。
※悉曇初心抄(1320頃)相通相同事「問。相通相同者如何。答。イエ相通、ウヲ相通、サタラナの四音相通、ハマワ同、タナ同なり」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二「都(すべ)て道中筥根(はこね)より伊勢路までは、馬をおまといひ、又いまといふ。〔日本記〕に馬をいまとよませり。仍(よっ)て相通(サウツウ)しておまともいふ」
③ 他人と意見・意志などが似ること。また、他と共通すること。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
※造化妙々奇談(1879‐80)〈
宮崎柳条〉八「心と肺の功用は、〈略〉、其相通
(サウツウ)期
(かく)の如し」
④ 互いに通い合うこと。
※やみ夜(1895)〈
樋口一葉〉五「我れは
食客の上下相通
(サウツウ)の身ながら、さながらお主様のやうにぞ覚えける」
あい‐つう・ずる あひ‥【相通】
[1] 〘自サ変〙 あひつう・ず 〘自サ変〙 互いに通い合う。わかり合う。〔文明本節用集(室町中)〕
[2] 〘他サ変〙 あひつう・ず 〘他サ変〙 互いにわかるようにする。通い合うようにする。
※
小説神髄(1885‐86)〈
坪内逍遙〉下「
脈絡通徹とは篇中の事物巨細となく互に脈絡を相通
(アイツウ)じて相隔離せざることをいふなり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報