真岡木綿(読み)モオカモメン

デジタル大辞泉 「真岡木綿」の意味・読み・例文・類語

もおか‐もめん〔まをか‐〕【真岡木綿】

栃木県真岡市付近から産した、丈夫な白木綿織物浴衣・白足袋地などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「真岡木綿」の意味・読み・例文・類語

もおか‐もめん まをか‥【真岡木綿】

〘名〙 栃木県真岡市付近から産する、丈夫な白もめんの織物。浴衣(ゆかた)・白足袋地などに用いる。現在では、全国的に生産されている。もおか。
木曾路名所図会(1805)五「真岡 真岡てふ所は、名にしおふ細き木綿を、さらし、白くして商ふ、〈略〉是を真岡(マヲカ)木綿と云」

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改訂新版 世界大百科事典 「真岡木綿」の意味・わかりやすい解説

真岡木綿 (もおかもめん)

綿織物一種。栃木県真岡市付近ならびに茨城県筑西市の旧下館市にかけて織られていた白木綿をいう。真岡を集散地とした。関東各地の機業は16世紀の三浦木綿に始まり,千葉海岸を中心に綿花栽培が行われていた。手紡ぎの綿糸で織られる真岡木綿は,青梅縞結城縞とならぶ関東の代表的な織物であった。文化~天保(1804-44)ころ最盛期で,年間38万反ともいわれた。当時は藍花色,浅葱(あさぎ)色をおもに着尺地に用いた。明治初期ころから埼玉各地でも織られていたが,明治中期に名古屋の商人が輸入の紡績糸を使って真岡木綿をまねて織り出し,岡木綿と名づけた。以来,産地は尾州地方に移り,明治末期には生産は300万反に及んだ。現在は各綿織物産地でゆかた地用などとして織られるものがその流れをくんでいる。
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百科事典マイペディア 「真岡木綿」の意味・わかりやすい解説

真岡木綿【もおかもめん】

栃木県真岡地方で産した綿織物。この地方は江戸時代から綿花の栽培地として知られ,明治末期まで上質の木綿を産出したが輸入綿に押され衰退した。これを模して明治中期から名古屋地方で輸入綿による岡木綿が生産されるようになり,現在これを真岡木綿と称している。小幅の白地木綿で,染めておもに浴衣(ゆかた)地とする。
→関連項目下館[市]綿織物真岡[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「真岡木綿」の意味・わかりやすい解説

真岡木綿
もおかもめん

毛加とも書く。栃木県真岡市を中心に産した木綿織物農家副業として古くから手織りされた。経緯(たてよこ)糸に手紡糸を使用し、細糸を緻密(ちみつ)に組織した、代表的な小幅白木綿地で、中形(ちゅうがた)(浴衣(ゆかた))生地(きじ)などに使用される。1804~44年(文化1~弘化1)のころが最盛期で、浅葱(あさぎ)、千草などの淡色または草色染めにし、上着および裏地に用いた。なお、同じ小幅白木綿地でも、愛知県知多(ちた)地方のものは「岡木綿」とよばれる。

[並木 覚]

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「真岡木綿」の解説

真岡木綿[染織]
もおかもめん

関東地方、栃木県の地域ブランド。
真岡市で製作されている。江戸時代後期には真岡晒として隆盛を極めたという。綿の栽培から織り工程までのすべてが手作業でおこなわれる。木綿の自然な風合いがある。栃木県伝統工芸品。

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デジタル大辞泉プラス 「真岡木綿」の解説

真岡木綿

栃木県真岡市で生産される綿織物。江戸時代には「真岡晒」の名で知られた伝統的な織物だが、戦後は製造が激減。1980年代に保存振興会が設立され、技術が継承されている。栃木県伝統工芸品。

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世界大百科事典(旧版)内の真岡木綿の言及

【下野国】より

…また那須郡は19.8%で郡別第4位,芳賀郡は12.3%で第6位をしめ,前者は葉煙草,楮皮,実綿,後者は実綿,楮皮,菜種の順となっている。芳賀郡は真岡(もおか)木綿の伝統的な特産物をはぐくみながら,化政期(1804‐30)の38万反の生産が明治初年には1万反台の激減をみた機業地をかかえていた。開港を契機とした変動といわれるが,他方同じ下野にあって開港を契機として隆盛をみているのが足利織物であった。…

【真壁[町]】より

…17世紀後半から六斎市が開かれ,酒・しょうゆの醸造業や石材加工も興り,周辺農村の商品流通の拠点として,在郷町の性格が強まった。とくに真岡(もおか)木綿生産地帯の一環として,縞木綿・さらし木綿の生産と取引が活発になり,六斎市も木綿取引を中心とする定期市に変じたが,19世紀に入ると周辺農村自体の商品流通が展開し,町屋村の定期市や商品取引は停滞した。1876年11月に地租改正反対一揆として有名な真壁騒動が発生した。…

※「真岡木綿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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