真間手児奈(読み)ママノテコナ

デジタル大辞泉 「真間手児奈」の意味・読み・例文・類語

まま‐の‐てこな【真間手児奈】

《「ままのてごな」とも》下総しもうさ葛飾かつしか千葉県市川市真間)に住んでいたという伝説上の女性万葉集山部赤人高橋虫麻呂の歌によると、多く男性求婚にたえられず、真間の海に入水自殺したという。→手児奈

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朝日日本歴史人物事典 「真間手児奈」の解説

真間手児奈

万葉集』のなかで,山部赤人や高橋虫麻呂によって詠まれた伝説中の少女。真間は現在の千葉県市川市真間町に比定され,テコは娘子の方言,ナは愛称接尾辞である。虫麻呂の伝説歌に依ると,粗末な身なりはしているが,箱入り娘もとてもおよばないほどの美人であった手児名は,多くの男に求婚されたが,わが身を思い知って入水してしまったという。そこには,人間の男に嫁ぐことのできない巫女のイメージが暗示されている。市川市には,手児奈が水をくんだという真間の井,つぎ橋などの伝承地が残されている。<参考文献>折口信夫「真間・蘆屋の昔がたり」(『折口信夫全集』29巻),桜井満『万葉の歌・人と風土13巻・関東南部』

(小松和彦)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「真間手児奈」の解説

真間手児奈 ままの-てこな

「万葉集」のなかでうたわれた伝説上の美少女
下総(しもうさ)葛飾郡真間(千葉県)にすむまずしい少女で,求婚者のおおいのになやみ,海に身をなげて自殺した。山部(やまべの)赤人,高橋虫麻呂(むしまろ)らによまれた。市川市の手児奈堂にまつられている。勝鹿(かつしかの)真間娘子(おとめ)ともいう。

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百科事典マイペディア 「真間手児奈」の意味・わかりやすい解説

真間手児奈【ままのてこな】

下総(しもうさ)国葛飾の真間(千葉県市川市)にいたという古代伝説中の美少女。多数の男に求婚されて思い悩み,入江に投身して処女のまま命を絶ったという。《万葉集》に山部赤人,高橋虫麻呂の歌がある。

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