デジタル大辞泉
「睦」の意味・読み・例文・類語
ぼく【睦】[漢字項目]
[常用漢字] [音]ボク(漢) [訓]むつむ むつぶ むつまじい
人々が仲よく寄り合う。仲よくする。「親睦・和睦」
[名のり]あつし・ちか・ちかし・とき・とも・のぶ・まこと・む・むつ・むつみ・よし・よしみ・りく
[難読]睦月
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
むつまじ・い【睦】
〘形口〙 むつま
じ 〘形シク〙 (古くは「むつまし」。動詞「むつむ(睦)」の
形容詞化)
※
書紀(720)推古二九年二月(図書寮本訓)「我、国異
(あたしくに)と雖も、心、断金
(ムツマシキ)に在り」
※
源氏(1001‐14頃)
夕顔「この院のあづかりのこ、むつましくつかひ給ふわかきをのこ」
② 特に、
夫婦または恋人同士の
男女の仲がよい。愛情が濃密である。
※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「汝
(いまし)、親
(ムツマシク)昵
(ムツマシ)と雖も、朕、
眉輪王(まよわのおほきみ)を畏る」
③ (主として人以外の
事物に関して) 心がひかれ、
愛着を感じる。慕わしい。なつかしい。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「見し人の煙を雲と眺むればゆふへの空もむつましきかな」
むつまじ‐が・る
〘自ラ四〙
むつまじ‐げ
〘形動〙
むつまじ‐さ
〘名〙
むつ‐・ぶ【睦】
[1] 〘自バ上二〙
① 親しくふるまう。仲よくする。むつまじくする。むつむ。
※書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「
親族(うからやから)篤
(ムツフル)ときは、民、仁
(うつくしひのこころ)に興らむ」
② 特に、夫婦または恋人同士の男女が仲よくする。むつむ。
※源氏(1001‐14頃)
横笛「御仲のむつびそめたる年月の程を」
[2] 〘自バ四〙 (一)に同じ。
※日蓮遺文‐崇峻天皇御書(1277)「常にむつばせ給へ」
むつ‐び【睦】
〘名〙 (動詞「むつぶ(睦)」の
連用形の
名詞化) 親しくなること。親しい交わりや
感情。むつみ。親睦。
※書紀(720)皇極三年正月(岩崎本訓)「蘇我倉山田麻呂の
長女を納れて妃
(みめ)と為て、
婚姻(むこしふと)の眤
(ムツヒ)を成さむ」
むつ‐み【睦】
〘名〙 (動詞「むつむ(睦)」の連用形の名詞化) むつむこと。また、その気持。むつび。
※俳諧・
芭蕉桃青翁御正伝記(1841)貞徳翁十三回忌追善俳諧「とし玉をいたう又々申うけ〈
蝉吟〉
師弟のむつみ長く久しき〈芭蕉〉」
むつ‐・む【睦】
〘自マ四〙 =
むつぶ(睦)〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
※
唱歌・あふげば尊し(1884)「互にむつみし、日ごろの恩」
むつ・る【睦】
〘自ラ下二〙 親しんでまつわりつく。親しみなつく。むつぶ。
※観智院本三宝絵(984)上「此の
師子の
縁覚の聖の木の下に居たる時を見て、
日日に来て喜びむつれて、経を誦み」
むつ【睦】
〘
語素〙 むつまじい、親しい、などの意を表わす。「むつぶ」「むつまし」などの形で用いられるほか、名詞と熟して用いられる。「むつごと」「むつたま」「すめむつ」など。
むつまじ【睦】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報