瞿佑(読み)くゆう

精選版 日本国語大辞典 「瞿佑」の意味・読み・例文・類語

く‐ゆう ‥イウ【瞿佑】

中国、明代の文人。字は宗吉。号は存斎。「瞿祐」とも書く。浙江銭塘の人。各県の訓導歴任し、永楽年間、周王府右長史となったが、詩禍のため一八年間陝西北辺に流された。著書「詠物詩」「帰田詩話」、特に「剪燈(せんとう)新話」は有名。(一三四七頃‐一四二七

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デジタル大辞泉 「瞿佑」の意味・読み・例文・類語

く‐ゆう〔‐イウ〕【瞿佑】

[1341~1427]中国、明代の文人。あざなは宗吉。号は存斎。銭塘せんとう浙江せっこう省)の人。筆禍により陝西せんせい省に流されたが、許されて帰郷。怪異小説「剪灯せんとう新話」が特に知られており、日本怪談牡丹灯籠ぼたんどうろう」などに翻案された。他に「帰田詩話」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瞿佑」の意味・わかりやすい解説

瞿佑
くゆう
(1341―1427)

中国、明(みん)代の文人。日本に伝来して著名になった文語体の怪異小説集『剪灯新話(せんとうしんわ)』の作者で、字(あざな)を宗吉、号を存斎(そんさい)といった。銭塘(せんとう)(浙江(せっこう)省)の人で、若年から詩人として知られていたが、その一生は不遇で、仁和県、臨安府(浙江省)、宜陽(ぎよう)県(河南省)あたりの訓導や周王府の右長史という低い官職についただけで、筆禍によって保安(陝西(せんせい)省)に流され、10年の年月を過ごした。多くの著書はほとんどが散逸してしまい、現在伝わるものは『剪灯新話』『帰田詩話』『詠物詩』だけである。

[藤田祐賢]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瞿佑」の意味・わかりやすい解説

瞿佑
くゆう
Qu Yu

[生]至正1(1341)
[没]宣徳2(1427)
中国,明の文学者。銭塘 (浙江省臨安県) の人。字,宗吉。号,存斎。早くから楊維 楨に詩才を認められたが,官吏としては不遇で,地方県の訓導という学官を歴任,のち周王府右長史となったが永楽年間,筆禍によって保安 (陝西省) に流され,洪煕1 (1425) 年許されて帰った。宋,元代にめぼしい作品のなかった文語小説の分野で,怪異小説集の傑作剪燈 (せんとう) 新話』を著わし,多くの模倣作を生むほどの流行をみせた。長命で多くの著があり,また詩にも艶麗な筆をもったが,散逸して『帰田詩話』のほかはほとんど伝わっていない。

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世界大百科事典(旧版)内の瞿佑の言及

【剪灯新話】より

…中国,明代の瞿佑(くゆう)(1341‐1427)作の文言による怪異小説集。唐の伝奇小説以来の伝統を引く怪奇ロマン22編より成る。…

※「瞿佑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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