矢部喜好(読み)やべ・きよし

朝日日本歴史人物事典 「矢部喜好」の解説

矢部喜好

没年:昭和10.8.26(1935)
生年:明治17.7.4(1884)
日本で最初の良心的兵役拒否者,日本基督同胞教会牧師。福島県耶麻郡木幡村字舟引の矢部喜一の長男。明治31(1898)年会津中学に入学,同35年に家が破産した失意のときにセブンスデー・アドベンチスト(米国で始まったキリスト教一派)の伝道にふれて入信,翌年上京して神学校に学び,郷里伝道をなす。同38年旧正月,日露戦争の補充兵として召集されたが,「殺すなかれ」の律法を守り,徴兵忌避を申し出て,若松監獄に入獄,同年5月出獄して看護卒補充兵となる。同34年渡米,シカゴ大学神学部などに学ぶ。同42年基督同胞教会に入会。大正4(1915)年帰国,東京原宿,滋賀県膳所,大津などの同胞教会で伝道に従事。琵琶湖少年少女夏期学校,湖南農民福音学校を開催するなど多彩な活動で農村教化に大きな足跡を残した。<参考文献>田村貞一『矢部喜好伝』,日本基督同胞教会史編纂委員会『日本基督同胞教会史』

(大濱徹也)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢部喜好」の解説

矢部喜好 やべ-きよし

1884-1935 明治-昭和時代前期の牧師。
明治17年7月4日生まれ。38年信仰上の理由から徴兵を拒否し,投獄される。翌年渡米してシカゴ大で神学をまなぶ。大正4年滋賀県で開拓伝道にはいり,膳所(ぜぜ)教会を設立。大津教会牧師をかね,農村伝道にもつとめた。昭和10年8月26日死去。52歳。福島県出身。会津中学中退。

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