短息(読み)たんそく

精選版 日本国語大辞典 「短息」の意味・読み・例文・類語

たん‐そく【短息】

〘名〙 (「たんぞく」とも)
息切れがすること。
(イ) 疲労して息切れがすること。つかれはてること。
海道記(1223頃)萱津より矢矧「呉山の長坂にあらずとも周行の短息はたへず」
(ロ) 不足してあとの続かないこと。欠けて足りないこと。
※吉川家文書‐(天正八年)(1580)五月一〇日・吉川自筆元春書状「今度我等賀茂罷出候付而、人数余短息之故、自御方十人程、先走之者被仰付被差上候者、可為祝着之由申候処」
② 努力して事にあたること。専念すること。
(イ) 十分気を配ること。気をつけること。注意すること。
※吉川家文書‐(天正八年)(1580)五月一〇日・吉川元春自筆書状「内之養性之儀付而、一段日夜辛労にて伽之由、乍勿論、於我等祝着無申計候、元長元棟被仰談、一日も早々被取直快気候様、御短息干要候」
(ロ) 力を尽くして事を行なうこと。努力して行なうこと。
※毛利家文書‐(永祿四年)(1561)毛利元就書状「今度関表は、隆景身にかけ短息候て勝利候」
(ハ) 熱心にさがし求めること。
※石見吉川家文書‐(天正九年)(1581)五月一九日・吉川経家書状「私部え此間従但州兵粮三十程差籠候。是にて結句弱りたる之由申候、当春中より之短束には、左少之至候」
(ニ) 金銭などを調達すること。工面(くめん)算段
※鶴田家文書‐(年未詳)(江戸)九月二一日・鍋島勝茂書状「唐之薬研入用之儀候て〈略〉御家来衆に所持之方候はは、被御歎束下事、頼入申候」
[補注]②については「短息」「短束」「歎息」「歎束」「探測」などと書いた例がみられ、語源は必ずしも明らかではない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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