精選版 日本国語大辞典 「短」の意味・読み・例文・類語
みじか・い【短】
〘形口〙 みじか・し 〘形ク〙
① 空間的に連続している線状的なものについて、一方の端から他方の端までの隔たりが、相対的に小さいさま。
※枕(10C終)二三四「みじかくてありぬべきもの、とみのもの縫ふ糸。下衆女の髪」
② 空間的に上の方までひろがりのないさま。低い。また、背が低い。
※大和(947‐957頃)一三八「このこやくしといひける人は、たけなむいとみじかかりける」
③ 転じて、身分、位などが上位でないさま。高貴でないさま。
※大智度論天安二年点(858)「高き者を下くあらしめ下(ミシカキ)者を高くあらしむること能はず」
④ 時間について、ある時点から連続している他の時点までの隔たりが、相対的に小さいさま。久しくないさま。
※万葉(8C後)一五・三七四四「我妹子に恋ふるに我はたまきはる美自可伎(ミジカキ)命も惜しけくもなし」
(イ) 思慮、性格などに欠けるところのあるさま。鈍いさま。劣っているさま。浅薄なさま。
※曾我物語(南北朝頃)五「又呉王も智浅くして、はかり事みじかし」
(ロ) 長続きしないさま。変わりやすいさま。薄情なさま。
※伊勢物語(10C前)一一三「長からぬ命のほどに忘るるはいかにみじかき心なるらん」
⑥ (「気が短い」の意で) 短気なさま。せっかちなさま。
[語誌]②の用法は、中古に低いという意を表わす形容詞がほかになかったことによる。したがって、タカシと対義的に用いられている例も見られる。中世から、「ひきし」が使われるようになって、「みじかし」を低い意味で使うことはなくなった。
みじか‐げ
〘形動〙
みじか‐さ
〘名〙
たん【短】
〘名〙
① (形動) みじかいこと。また、そのさま。物の長さや期間などがみじかいこと。〔戦国策‐秦策〕
※愚迷発心集(1213頃)「他人の短をば語と云へども身の上の過を顧ず」
③ 「たんか(短歌)」の略。
※万葉(8C後)五・八九七・題詞「老身重病経レ年辛苦及思二児等一歌七首 長一首短六首」
⑤ 「たんおんかい(短音階)」の略。
みじか【短】
[1] 〘語素〙 (形容詞「みじかい」の語幹相当部分)
① それが相対的に短い形、低い形であることを表わす。「みじか山」「みじか袖」など。
※枕(10C終)一五一「雞のひなの、足高に、白うをかしげに、きぬみじかなるさまして」
② 続き具合が短いことを表わす。「みじか歌」「みじか夜」「ことばみじか」など。
③ 人の気持などが、せわしいさまを表わす。「気みじか」
[2] 〘名〙 腰のあたりまでの丈しかない仕事着。腰切り。
みじっか・い【短】
〘形口〙 「みじかい(短)」の変化した語。
※雑俳・柳多留‐一八(1783)「みじっかく牛戸をよんてせなあ来る」
みじか‐・める【短】
〘他マ下一〙 みじか・む 〘他マ下二〙 短くする。縮める。略する。〔羅葡日辞書(1595)〕
みじか・し【短】
〘形ク〙 ⇒みじかい(短)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報