石上寺(読み)いそのかみでら

精選版 日本国語大辞典 「石上寺」の意味・読み・例文・類語

いそのかみ‐でら【石上寺】

奈良県天理市石上町にあった寺。貞観年間(八五九‐八七七石上神宮寺として創建され、布留の良因寺(宵薬師堂)址と推定されている。僧正遍昭とその子素性(良岑)が住んだので良峰(りょうぶ)寺ともいう。在原寺に同じとする説もある。よしみねでら。歌枕

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デジタル大辞泉 「石上寺」の意味・読み・例文・類語

いそのかみ‐でら【石上寺】

天理市にあった寺。寺跡については、遍昭へんじょう素性そせいゆかりの布留の良因寺、石上にあった在原ありわら寺など諸説がある。[歌枕]

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日本歴史地名大系 「石上寺」の解説

石上寺
せきじようじ

[現在地名]亀山市和田町

通称石上寺坂の中腹にあり、河内野中やちゆう(現羽曳野市)末寺で高野山真言宗、那智山と号する。本尊延命子安地蔵菩薩。江戸中期の国学者萱生由章が明和四年(一七六七)著した石上寺縁起「新熊野三社の記」(当寺蔵)によれば、延暦一五年(七九六)大和石上いそのかみ(現天理市)の布留神の神託を受けた紀真竜が熊野社を現在地に勧請し、たまたまこの地を訪れた空海が一仏一堂を創建して那智山石上寺と名付け、真竜をその別当に補したことに始まるという。以来、神宮寺として国家護持の祈祷を行い、鎌倉時代には将軍家の祈願所と定められた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石上寺」の意味・わかりやすい解説

石上寺
いそのかみでら

奈良県天理市にあった寺。所在地については諸説ある。一つは石上神宮のある布留(ふる)にあった僧正遍昭(へんじょう)(816―890)建立とするものであるが、『続日本後紀(しょくにほんこうき)』834年(承和1)の護命(ごみょう)卒伝に石上寺の名がみえ、疑問がある。ここには遍昭の子素性(そせい)が住んだと伝える。また天理市の北部、字(あざ)石上にあった在原寺(ありはらでら)とする説があり、在原業平(ありわらのなりひら)の住所に建てられたとする。そのほか石上布留村の良因寺とする説などもある。

石田瑞麿

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