石井宗謙(読み)いしい・そうけん

朝日日本歴史人物事典 「石井宗謙」の解説

石井宗謙

没年:文久1.5.23(1861.6.30)
生年:寛政8(1796)
江戸後期の蘭方医。美作国真嶋郡旦土村(岡山県落合町旦土)の医師石井信綱(一説に信正)の長男。27歳のころ長崎遊学,蘭館医シーボルトに西欧医学を学び,『日本産昆虫図説』などをオランダ語に訳し,シーボルトに提出するほどの語学力に達した。シーボルトが国禁事件で離日(1829)後,間もなく帰郷,天保3(1832)年美作勝山藩医に任ぜられた。一時期岡山で開業。このときシーボルトの子楠本イネ産科を教えるとともに,イネとの間に娘たか子をもうけた。のち江戸に出て蕃書調所に出仕したが,地方小藩出身のためか才能を十分に発揮できなかった。<参考文献>中山沃『岡山の医学』,森本清丸『勝山町史前編

(中山沃)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「石井宗謙」の解説

石井宗謙 いしい-そうけん

1796-1861 江戸時代後期の蘭方医。
寛政8年生まれ。長崎でP.F.シーボルトにまなび,天保(てんぽう)3年美作(みまさか)(岡山県)勝山藩医となる。岡山で開業し,シーボルトの娘楠本いねに産科をおしえ,いねとの間に娘たかをもうけた。のち江戸詰めの勝山藩医となる。安政2年箱館奉行所通詞を命じられ,3年蕃書調所(ばんしょしらべしょ)に出仕した。文久元年5月23日死去。66歳。美作出身。

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