ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石井良助」の意味・わかりやすい解説
石井良助
いしいりょうすけ
[没]1993.1.12. 東京
法制史学者。 1930年東京大学法学部卒業。 1937年『中世武家不動産訴訟法の研究』によって法学博士号を取得。同学部助手,助教授を経て 1943年教授に就任。定年退官後は新潟大学,専修大,創価大学などの教授を歴任。日本の古代から江戸,明治時代にいたる法律制度の資史料を丹念に調べあげ,1952年『日本法制史概説』にまとめた。その機軸となるのは,各時代の法および社会はそれぞれに誕生と衰退を繰り返すという波動史観と,近代ヨーロッパの法体系を基盤にして法を社会の骨格とたとえた独特の認識にあった。また一方で,法制史学会代表理事として膨大な資史料の整備,編纂にも力を尽くした。『徳川禁令考』『江戸時代漫筆』 (1979) など一般にも親しみやすい著作のほか,『天皇──天皇統治の史的解明』 (1982) ,『日本団体法史』 (1978) など多くの著書,ならびに『日本史概説』『日本国家史』など一般史の概説書がある。 1970年紫綬褒章を受章。 1977年学士院会員となり,1978年の「講書始の儀」では昭和天皇に『法制史』 (1964) をご進講した。 1984年文化功労者。 1990年文化勲章を受章。
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