家庭医学館 「石綿肺(症)」の解説
せきめんはいしょう【石綿肺(症) Asbestosis】
石綿(いしわた)(アスベスト)は建材、ヒューム管、自動車のブレーキ部品、るつぼなどの材料に使われており、これらを製造し取り扱う労働者に石綿粉塵(ふんじん)を吸入しておこる塵肺(じんぱい)が発生する危険があります。
石綿線維は、天然にある繊維状の物質のなかでもっとも細く、1本の線維は電子顕微鏡でやっと確認できるほどの細さですが、肺内に入ると、周囲に線維の増殖をおこします。
[症状]
肺下部の変化が多く、X線像も珪肺(けいはい)とちがいます。早期から肺活量と血中の酸素が減り、症状は珪肺とほぼ同じですが、進行はより速やかです。肺がんや、悪性胸膜中皮腫(あくせいきょうまくちゅうひしゅ)(コラム「胸膜中皮腫」)が合併しやすいのも珪肺とちがい、肺の末梢(まっしょう)に到達した石綿の線維が胸膜(きょうまく)を長期間刺激して、胸膜斑(きょうまくはん)と呼ばれる肥厚(ひこう)をつくるのも特徴です。