砥部(読み)とべ

精選版 日本国語大辞典 「砥部」の意味・読み・例文・類語

とべ【砥部】

愛媛県中央部の地名松山市の南隣りにあり、ミカン栽培磁器砥部焼で知られる。古くから砥石を生産したことに由来

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改訂新版 世界大百科事典 「砥部」の意味・わかりやすい解説

砥部[町] (とべ)

愛媛県中央部,伊予郡の町。2005年1月旧砥部町と広田(ひろた)村が合体して成立した。人口2万1981(2010)。

砥部町北部の旧町,伊予郡所属。人口2万0961(2000)。北の松山市との境を重信川が西流し,町域中央を北流する砥部川が重信川に注ぐ。この両川沿いに低地が開ける。砥部焼として知られる製陶の町で,文禄・慶長の役のとき朝鮮から渡来した陶工が始めたという伝えがあるが,安永年間(1772-81)五本松の上原(かんばら)に窯を開いた杉野丈助が砥部焼の祖とされる。大洲藩の保護奨励もあって発展,現在は食器,花器茶器のほか電気碍子(がいし)の生産も多い。山地斜面ではかんきつ類の栽培が盛ん。川登に大森彦七居城という世里(せり城跡があり,重信川に注ぐ矢取川は塩売淵,茄子ヶ窪(なすがくぼ)など彦七にまつわる伝説が多い。宮内には砥部川右岸の丘陵上に大下田(おおげた)古墳群がある。中央構造線上にある岩谷口の砥部川河床には砥部衝上断層(天)がみられる。町内には国道33号,379号線が走り,松山市のベッドタウン化も進んでいる。

砥部町南部の旧村。伊予郡所属。人口1114(2000)。肱(ひじ)川に注ぐ小田川の支流田渡川上流域に位置し,石鎚連峰の支脈四方を囲まれる。耕地に乏しいため,木材,クリ,シイタケ,タバコなどを栽培する。北東に接する旧砥部町との境,上尾(うえび)峠(463m)付近では陶石が採掘され,旧砥部町の砥部焼をはじめ,名古屋,多治見などの陶器産地に原料を供給している。中野川にある権現山は信仰の山で,東方の石鎚山に対して小型の石鎚山として〈西の権現〉と呼ばれる。山開きは毎年旧暦6月1日。山麓の白糸の滝は行場で,高さ15m。猿谷の仙波ヶ岳は高さ80mの岩峰がそびえる景勝地。
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