硝酸エステル(読み)ショウサンエステル

デジタル大辞泉 「硝酸エステル」の意味・読み・例文・類語

しょうさん‐エステル〔セウサン‐〕【硝酸エステル】

硝酸アルコールから得られるエステル。多く爆薬として用いられる。ニトログリセリンニトロセルロースなど。

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精選版 日本国語大辞典 「硝酸エステル」の意味・読み・例文・類語

しょうさん‐エステル セウサン‥【硝酸エステル】

〘名〙 (エステルはEster) 硝酸とアルコールによって得られる化合物。一般式 RONO2 加熱したり衝撃を加えると爆発しやすいものが多く、火薬、爆薬の基剤とされる。硝酸エチル硝酸繊維素など。

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化学辞典 第2版 「硝酸エステル」の解説

硝酸エステル
ショウサンエステル
nitric ester

RONO2(Rはアルキル基).硝酸とアルコールあるいは炭水化物ヒドロキシ基との間に生成する化合物.一般に,アルコールに濃硝酸を反応させるか,ハロゲン化アルキル硝酸銀の複分解

RI + AgNO3 → RONO2AgI

によって得られる.硝酸メチル(CH3NO3(77.04),沸点65 ℃,1.2074,1.3748),および硝酸エチル(C2H5NO3(91.07),沸点87.6 ℃,1.1084,1.3852)がよく知られている.いずれも水に難溶,ほとんどの有機溶剤に易溶.揮発性があり,加熱,衝撃で爆発しやすい.加水分解すると原料のアルコールと硝酸になる.このほか炭化水素と硝酸から得られるもので,グリセリンエステル(三硝酸グリセリン),グリコールエステル(二硝酸グリコール),セルロースエステルなどが知られ,いずれも慣用名としてそれぞれニトログリセリンニトログリコール,ニトロセルロースなどとよばれている.爆薬,ロケット燃料などに用いられる.[CAS 598-58-3:硝酸メチル][CAS 625-58-1:硝酸エチル]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸エステル」の意味・わかりやすい解説

硝酸エステル
しょうさんえすてる
nitrate ester
organonitrate
organic nitrate

アルコールと硝酸が水1分子を失って縮合した化合物の総称。一般式R-O-NO2。一般に加熱または衝撃により爆発しやすく、第5類危険物に指定されていて、自然発火による事故への注意が必要である。加水分解によりもとのアルコールと硝酸になる。火薬、爆薬、ロケット推進剤などに使われるものが多い。

 代表的な一価アルコールの硝酸エステルとしては、硝酸エチルがある。この化合物は液体で、揮発性、爆発性が大きすぎるので爆薬としてはあまり使われない。

 グリコール、グリセリン、セルロース、ペンタエリトリトール(ペンタエリスリトール)などの多価アルコールの硝酸エステルは、それぞれニトログリコール、ニトログリセリン、ニトロセルロース、ペンスリットの通称でよばれ、爆薬などの用途をもっている。ニトログリセリンはダイナマイトの火薬として用いられる。このほかに硝酸イソソルビドやニコラジルなどの狭心症特効薬も硝酸エステルである。

[廣田 穰]


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百科事典マイペディア 「硝酸エステル」の意味・わかりやすい解説

硝酸エステル【しょうさんエステル】

アルコール,炭水化物などと硝酸のエステル。ニトログリセリンニトロセルロースなど。爆薬として用いられるものが多い。
→関連項目ダイナマイト

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸エステル」の意味・わかりやすい解説

硝酸エステル
しょうさんエステル
nitric ester

水酸基をもつ化合物と硝酸とを反応させてできる化合物。不安定で熱や衝撃によって爆発する。硝化綿やニトログリセリンなどがその例である。

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