【Ⅰ】硫化スズ(Ⅱ):SnS(150.78).可溶性のスズ(Ⅱ)塩水溶液に硫化水素を通じると,茶黒色の粉末として得られる.また,スズと硫黄を直接加熱すると,灰黒色の結晶として得られる.岩塩型構造の斜方晶系結晶.密度5.08 g cm-3(0 ℃).融点880 ℃,沸点1230 ℃.水にほとんど不溶.濃塩酸に溶け,アルカリを加えると水酸化スズ(Ⅱ)を沈殿するが,過剰には溶ける.多硫化アンモニウム水溶液にはトリチオスズ(Ⅳ)酸塩となって溶ける.空気中で強熱または硝酸で処理すると酸化されて酸化スズ(Ⅳ)になる.分析試薬,重合反応の触媒,軸受剤などに用いられる.[CAS 1314-95-0]【Ⅱ】硫化スズ(Ⅳ):SnS2(182.84).二硫化スズともいう.塩化スズ(Ⅳ)塩の酸性水溶液に硫化水素を通じると黄色コロイド状の沈殿として得られる.また,硫黄とスズはくを塩化アンモニウム共存下で直接加熱すると,黄金色の六方晶系板状晶として得られる.密度4.5 g cm-3.水にほとんど不溶,硝酸,塩酸に不溶.アルカリにはヘキサヒドロキソスズ(Ⅳ)酸塩とトリチオスズ(Ⅳ)酸塩になって溶ける.硫化アルカリ,硫化アンモニウムに溶けてトリチオスズ(Ⅳ)酸塩になる.空気中で加熱すると酸化スズ(Ⅳ)と二酸化硫黄になり,王水と加熱すると酸化スズ(Ⅳ)と硫酸になる.彩色金,モザイク金ともいい,黄金色で変化をうけにくいので,金色顔料(塗料)としてラッカーやニスなどに用いられる.[CAS 1315-01-1]