磐井川(読み)イワイガワ

デジタル大辞泉 「磐井川」の意味・読み・例文・類語

いわい‐がわ〔いはゐがは〕【磐井川】

岩手県南部を流れる川。栗駒山の北斜面に源を発し、一関市内を流れ北上川に注ぐ。長さ36キロ。上流には厳美渓がある。

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日本歴史地名大系 「磐井川」の解説

磐井川
いわいがわ

宮城県・秋田県境に位置する栗駒くりこま(須川岳)北の中腹に源を発し、須川すかわ温泉の末流湯尻ゆじり川を合せて東流、萩荘はぎしよう地内で産女うぶすめ川・小猪岡こいのおか川、厳美げんび渓を経て市街地の西方萩荘谷起島やぎじま付近で久保くぼ川、市街地東方三関さんのせき地内ですい川を合せ、柵ノ瀬さくのせ橋下流約六〇〇メートルの地点で北上川に注ぐ。全長三六・三キロの一級河川。古くは須川とよばれたといい、この川名は火山でもある栗駒山の酸性分が川水に溶けていたことから酢の川とよばれ、さらに須川となったといわれる。「陸奥話記」に「磐井河」とみえ、前九年の役の際には当川を挟んだ小松こまつ柵・萩の馬場はぎのばば(現萩荘上黒沢付近か)高梨たかなし宿・石坂いしさか(現赤荻か)が、源頼義・清原武則の連合軍と安倍勢の激戦地となっている。康平五年(一〇六二)八月一七日小松柵を攻略された安倍勢は、九月五日当川岸に追詰められ大敗を喫した。「陸奥話記」には「賊衆磐井河に到り、迷ひて或は津を失ひ、或は高き岸より墜ち、或は深き淵に溺る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磐井川」の意味・わかりやすい解説

磐井川
いわいがわ

岩手県南西端、奥羽山脈栗駒山(くりこまやま)(須川岳北麓(ほくろく)に源を発し、厳美渓(げんびけい)の峡谷をつくり、一関(いちのせき)市街地を貫流して北上川に注ぐ川。延長36.3キロメートル。栗駒火山の酸性分が含まれることから「酢の川」とよばれ、のち須川となる。さらに陸奥(むつ)磐井の里を流れる河川ということから磐井川と名づけられた。1948年(昭和23)の洪水では大被害を受けたが、堤防も完成し堤防下の河川敷は河川公園として利用される。酸性の水も清流となりアユも生息するようになった。

[川本忠平]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磐井川」の意味・わかりやすい解説

磐井川
いわいがわ

岩手県南西部,栗駒山 (須川岳) 北麓より東流,一関市街地を貫流し,狐禅寺付近で北上川に注ぐ川。全長 36km。キャサリン (1947) ,アイオン (48) 両台風の豪雨で,狐禅寺狭窄部入口であふれた水が逆流,磐井川の堤防決壊で市街地は惨状をきわめた。その後,北上川総合開発が進められ,磐井川堤防も完工し,いまでは中流部の厳美溪の峡谷美とともに下流部は河川敷公園として利用されている。

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