磯辺(読み)いそべ

精選版 日本国語大辞典 「磯辺」の意味・読み・例文・類語

いそ‐べ【磯辺】

〘名〙
① 磯のほとり。磯端磯間
※土左(935頃)承平五年一月二一日「わがかみのゆきといそべの白波といづれまされり沖つ島守」
和琴(わごん)および箏の部分の名。胴の両側面。いそ。
※楽家録(1690)八「礒 是器之腋、凡謂之礒、一曰礒辺
海苔(のり)を使った料理につける形容語で、磯ともいう。磯辺もち、磯辺煮、磯辺あえなどがある。

おし‐へ【磯辺】

〘名〙 「いそべ(磯辺)」の上代東国方言。おすひ。
万葉(8C後)一四・三三五九「駿河の海於思敝(オシヘ)に生ふる浜つづら汝(いまし)を頼み母にたがひぬ」

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デジタル大辞泉 「磯辺」の意味・読み・例文・類語

いそ‐べ【×磯辺】

磯のほとり。いそばた。
海苔のりを用いる料理・菓子をいう語。磯辺え・磯辺もち磯辺揚げ磯辺巻きなど。
[類語]海岸海辺うみべ海辺かいへん沿海沿岸海沿い浜辺海浜砂浜臨海湾岸州浜波打ち際海水浴場リアス海岸シーサイドビーチ荒磯

おす‐ひ【×辺】

「いそべ」の上代東国方言。おしへ。
葛飾かづしか真間まま手児奈てごながありしかば真間の―に波もとどろに」〈・三三八五〉

おし‐へ【×辺】

「いそべ」の上代東国方言。おすひ。
「駿河の海―に生ふる浜つづら」〈・三三五九〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磯辺」の意味・わかりやすい解説

磯辺
いそべ

のりを添えて用いる料理をいう。単に「磯」ということもある。代表的なものは磯辺焼きで、餅(もち)を焼き、砂糖、しょうゆを用い、のりで巻いたものをいう。磯辺揚げは、材料に衣をつけ、焼きのりを細かくしてふりかけてから揚げるもの、材料をのりで包んでから衣をつけて揚げるものがある。また小麦粉に卵と水を加えて揚げ物の衣をつくり、その中に焼きのりを細かくして加え、揚げる場合もある。磯辺という料理は、のりの香りと味をほのかに楽しむのが目的であるから、上等ののりを用いないと特徴が出ない。ときには香りのよい青のりを用いることもあり、生(なま)のりを使用することもある。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「磯辺」の解説

いそべ【磯辺】

のりを用いる料理に冠する言葉。磯辺和え・磯辺揚げ・磯辺焼きなどがある。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

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