祇園囃子(読み)ぎおんばやし

精選版 日本国語大辞典 「祇園囃子」の意味・読み・例文・類語

ぎおん‐ばやし ギヲン‥【祇園囃子】

〘名〙
祇園会(ぎおんえ)の時に、山鉾(やまほこ)の上で笛、鉦(しょう)太鼓などで行なう囃子。《季・夏》
※虎明本狂言・祇園(室町末‐近世初)「ぎおんはやしにふく笛の、太こをおほせつえをつき」
歌舞伎で、囃子の一つ。立ち回りの時などに用いる。
※滑稽本・風来六部集(1780)放屁論「三番叟・三つ地・七草・祇園囃(ギヲンバヤシ)

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デジタル大辞泉 「祇園囃子」の意味・読み・例文・類語

ぎおん‐ばやし〔ギヲン‐〕【××囃子】

祭り囃子の一つで、京都八坂神社祇園会のときに、山鉾やまぼこの上などで、笛・太鼓・かねではやされるもの。 夏》
歌舞伎下座音楽で、祇園会の山鉾巡行の囃子の趣にならったもの。「弁天小僧」のつらね、「助六」の股くぐりのくだりなどに使われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「祇園囃子」の意味・わかりやすい解説

祇園囃子
ぎおんばやし

京都の祇園祭祭囃子。7月17日の山鉾(やまぼこ)の巡行に際して鉾の上で演奏される。今日みるような山鉾については、1500年(明応9)の山鉾再興まではさかのぼることができるが、囃子の歴史は不詳である。今日に伝わる囃子は「コンチキチン」の俗称で表されるように、鉦(かね)の響きに特徴があり、鉦が十数丁と、締(しめ)太鼓数個、笛(竜笛(りゅうてき)または能管(のうかん))十数本で編成されている。10基ある鉾ごとに独自の曲を30曲程度ずつ所有する。大別すると、奉納囃子、渡り囃子(四条河原町まで、緩テンポ)、戻り囃子(四条河原町以後、急テンポ)となる。なお、地方の祭囃子にも祇園囃子の名を冠したものがあり、また下座(げざ)音楽にもある。

[西角井正大]

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デジタル大辞泉プラス 「祇園囃子」の解説

祇園囃子

1953年公開の日本映画。監督:溝口健二原作川口松太郎脚色依田義賢出演木暮実千代若尾文子、河津清三郎、進藤英太郎菅井一郎、小柴幹治、浪花千栄子ほか。第4回ブルーリボン賞助演男優賞(進藤英太郎)、助演女優賞(浪花千栄子)受賞

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世界大百科事典(旧版)内の祇園囃子の言及

【祭囃子】より

…地域により特色があるが,主要楽器としては太鼓・篠笛(しのぶえ)・鉦(かね)などが用いられる。京都の祇園祭の祇園囃子や江戸の葛西(かさい)囃子馬鹿囃子などはその代表的なものであり,とくに祇園囃子は歴史が古く,祭囃子としてほぼ全国に及んでいる。京都の祇園囃子は鉦・太鼓・笛(能管)によって演奏されるが,鉦がきわめて印象的で一口に〈コンチキチン〉と呼びあらわされており,笛は能管を用いる。…

※「祇園囃子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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